　その子供はアイスクリームが好きだった。

　春はお花見をしながら、

　夏は日陰で涼みながら、

　冬はコタツに入りながら、

　アイスクリームを食べていた。

　けれど、秋だけはアイスクリームを食べなかった。

　秋は春と同じく暑くも寒くもなく過ごしやすい。

　だから、気温は関係がない。

　食べない理由は、別にあった。

「秋は美味しいものがいっぱいあるから、アイスクリームを食べる暇がないなあ」

　秋は色々な作物が実り、旬の味を楽しませてくれる。

　アイスクリームは一年中美味しいが、秋の実りは旬に食べるのが一番美味しい。

　だから、どうしても秋の実りを優先してしまう。

　しかし、夏に買ったアイスクリームを冬まで取っておくと、賞味期限が切れてしまう。

　それは嫌なので、秋にもアイスクリームを食べる機会を増やせないか考える。

「そうだ。秋の実りにアイスクリームをトッピングしたらどうかな」

　収穫して寝かせたサツマイモは、秋の終わりくらいから食べ頃になる。

　デンプンが糖に変わったサツマイモの甘さは格別だ。

　それを石焼き芋にして、アイスクリームを乗せる。

　すると、じわりと融けてサツマイモに染み込んでいく。

「おいしい」

　一年中アイスクリームを食べる方法を見つけて、その子供は幸せだった。

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