月見酒
春といえば桜を愛でながらの花見酒だが、それができないこともある。
そんなときは月見酒だ。
月なら空を見上げれば見ることができる。
月のある方向に窓があれば、家の中から見ることもできる。
秋でなくてもかまわない。
月は自転により見える面が変わるので、見ていて飽きることがない。
月の表面にウサギのような模様が見えるという話は有名だ。
「今日はウサギが二匹もいるぞ」
「今日はウサギが餅つきをしているぞ」
そんなふうに楽しむのもよい。
もちろん月に本当にウサギがいるわけではないが、どんなウサギが何をしているのかと想像するだけで楽しくなってくる。
人類が月面着陸に成功してから数十年が経った。
月へ旅行するという夢も現実味を帯びてきた。
けれど、まだまだ月までの距離へは遠い。
少なくとも一般人が気軽に行ける場所ではない。
だから、酒を呑みながら想像する。
「かぐや姫がウサギをペットに飼っていたりしてな」
別の 物語の人物を登場させたりもする。
しかし、酔っているから不思議に思うこともない。
「月に帰ったかぐや姫が、寂しがりやのウサギの世話をして……」
綺麗な月を眺め、楽しい想像に浸りながら、酒を呑む。
花見酒とは違った風情がある。
春の月見酒もよいものだ。
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