和菓子屋の栗きんとん
ある和菓子屋が頭を悩ませていた。
一番人気は栗きんとんなのだが、今年は栗が不作だった。
その影響で、栗きんとんの材料である栗の値段が上がっている。
その上、前年は豊作で栗が安かったので落差が大きい。
もともと、栗きんとんは1つ100円で売っていたのだが、前年は豊作だったので2割値下げして1つ80円で売っていた。
しかし、今年は不作なので1つ80円で売ることは難しい。
それどころか、もとの値段である1つ100円で売ったとしても儲けが出ない。
「値上げするしかないか……」
店長が苦渋の決断を迫られる。
それに対して、和菓子作りの職人は反対する。
「値下げから値上げにすると、上げ幅が大きすぎる。買ってくれなくなるぞ」
「それはわかっているが、このままでは赤字だ。しかし、伝統ある和菓子だから、売らないということはしたくない。そうなると、値上げするしかない」
悩んだ末に店長は決断する。
「赤字にならないギリギリの値段で売るしかないな」
最終的に栗きんとんは、2割値上げされて100円で売られることになった。
「これなら、もとの値段に戻っただけだから、お客さんも買ってくれるだろう」
その年は栗きんとんで儲けは出なかったが、伝統は守られた。
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