晩酌のお供

 その男にとって、晩酌は何よりの楽しみだった。

 仕事終わりに、ビールを豪快に飲み干す。

 

「ゴクゴク……ぷはーっ」

 

 舌で味わうなんてことはせず、喉越しを楽しむ。

 一日の疲れが吹き飛ぶようだった。

 

「ポリポリ……カリカリ……」

 

 ビールのお供はナッツだ。

 若い頃は唐揚げやフライドポテトをつまみにビールを飲んでいた男だったが、最近は糖分や塩分が気になり始めたのだ。

 そこで、つまみを糖質制限によいと言われているナッツに切り替えたというわけだ。

 塩分を控えるために、ちゃんと素焼きのものを選んでいる。

 最初は味気ないと思ったナッツだが、色々な種類を順番に食べれば、飽きることはない。

 アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピーナッツ。

 どれもナッツだが、歯ごたえや味が違う。

 

「ポリポリ……ゴクゴク……」

 

 一粒ずつ一通りを食べたら、ビールを一口。

 そんなふうにすれば、ビールを飲むペースが早くなり過ぎることもない。

 ただし、注意点はある。

 

「そんなに食べたら、カロリーオーバーになるわよ」

 

 ナッツを食べ続ける男に妻が声をかける。

 ナッツは糖質は少なめだが栄養豊富でカロリーは高めだ。

 適量を食べる分にはよいが、食べ過ぎれば太る原因になる。

 何事も、ほどほどが一番だ。

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