酒は百薬の長
夕食後の晩酌。
それが彼にとっての至福の時間だった。
以前は日本酒に凝っていたのだが、最近はワインに凝っている。
その理由は、テレビで赤ワインのプリフェノールが健康によいと聞いたからだ。
彼は流行に流されやすい性格をしていた。
「♪~~」
彼がご機嫌で晩酌をしていると、そこへ彼の妻がやってきた。
「あまり飲み過ぎないようにね」
それは夫の健康を気遣っての発言なのだが、酔っ払っている彼には逆効果だった。
至福の時間を邪魔されて、彼は拗ねたように妻に反論する。
「酒は百薬の長っていうだろ? 俺は健康のために飲んでいるんだよ」
「薬だって飲み過ぎたら体に悪いのよ」
夫の反論に対し、妻も反論する。
しかし、酔っ払いは理屈では納得しない。
夫もさらに反論する。
「そんなはずはない。ワインのポリフェノールで抗酸化作用が働いているし、つまみのプロセスチーズで生きた乳酸菌も腸まで届いているんだぞ」
夫の言うことはその通りなのだが、飲み過ぎたら体に悪いという妻の指摘に対する反論にはなっていない。
しかし、夫はそのことにすら気付いていない。
「まあ、ほどほどにね」
酔っ払いには何を言っても無駄だと思った妻は、それだけ言って先にベッドに入るのだった。
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