飼育小屋の動物を増やそう

 ある小学校で飼育委員が会議をしていた。

 議題は飼育小屋の動物を増やそうという内容だった。

 費用が少なく買うことはできないので、子供達は知恵を出し合った。

 

「スズメやハトを捕まえるのはどうかな?」

「鳥は飛ぶから捕まえるのは難しいよ」

「罠を仕掛ければいいよ」

 

 議論が白熱するが、先生がそこに待ったをかける。

 

「スズメやハトを勝手に捕まえたら法律違反になっちゃうよ」

 

 その言葉を聞いて、子供達は別の方法を考えることにした。

 

「飼育小屋のニワトリが産んだ卵を孵すのはどうかな?」

 

 飼育小屋には一匹のニワトリがいるのだが、自分で産んだ卵を温めようとしない。

 その卵を孵化させようという案だった。

 

「それいいね。でも、どうやって温めたらいいのかな? レンジでチン?」

「それすると卵が爆発しちゃうよ。ずっと温めるなら温泉がいいんじゃないかな?」

「それだと、温泉卵になっちゃうよ」

 

 再び議論が白熱したところで、先ほどのように先生が口を開く。

 しかし、今度は止める言葉ではなかった。

 

「孵卵器を使うといいよ。知り合いから借りてあげるよ」

 

 教育にも良いと判断した先生は、子供達に協力することにした。

 無事に卵は孵化し、飼育小屋にヒヨコが増えることになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る