Uターンしてみると…。

水谷一志

第1話 これは、どんな村でしょう?

「ああ、やっと我が家に帰ることができる!」

しかし…。

その村の者たちが見たものとは?


その村では、若者が出稼ぎに出るという決まりがあった。

そして一定の期間の後Uターンして、地元の村に戻る。

また村に残った者たちはその出稼ぎに行った者たちが持って帰ってくる物を、非常に楽しみにしていた。


「…ってか、俺たちめちゃくちゃ働いてるよな…。」

「そうだな。『白いヤツ』に比べたら俺たちの方が働いてるよ。」

「ってか、これって軽く差別じゃねえの?」

「まあ仕方ないさ…。」

出稼ぎに行った若い者たちが不平不満をふいに漏らす。

そう、彼らは『黒いヤツ』と言われ、『白いヤツ』から馬鹿にされていた。


「『白いヤツ』はいいよな!いい家に住んで!」

「まあそう言うなって。」

「でも本当のことだぜ?俺たちの家は、『白いヤツ』の家に比べてどんなに貧相なことか!」

「…昔ながらの家、ってことじゃないか。」

「でも『白いヤツ』、あんな高層ビルみたいに高い家に住んでるんだぜ?」

「別に家に高さなんていらないよ。」

「でもまあアイツらの家の立派なこと!何かムカつくわ!」

「…まあ比べるもんじゃないよ。」

「絶対アイツらいいもん食ってるぜ!」

「そうかな…。」


『黒いヤツ』と言われる方の若者が愚痴をこぼす。

そしてそれを、仲間がなだめるのであった。


「やった~やっと家に帰れるぞ!」

「そうだな!」

その日は出稼ぎ終了の日。『黒いヤツ』と呼ばれる者たちは一斉に村へ帰ろうとしていた。

「…ってかこの村までの道、ヤケに固くなってないか?」

「確かに…何か雰囲気違うな…。」

「よし、もうすぐ俺たちの村だ!」

「…あれ?」

その後その村の者たちは、信じられない光景を目にする。


何と、その村は…。

家も何もかも、ガチガチに固まっていたのだ。

「おいこれじゃあ家に入れねえじゃねえかよ!」

「ってか玄関どこだ!?」

帰ってきた者たちはみんな、困惑した表情である。

「…ってか、父ちゃん母ちゃん無事か?」

「もしかしてみんな死んじゃったんじゃ…。」

Uターンしてきた村の者たちは家族の安否に思い至り、

「父ちゃん!」

「母ちゃん!」

声をかけるが返事が全くない。

「…ってかここ本当に俺たちの村の場所か!?」

「いやそれは村を出る時に目印つけただろ?間違いないよ。」

「クソッ、誰がこんなことを…。」

そこである村の者が、あることを閃く。


「これ…、『白いヤツ』らの仕業だよ絶対!」

「どういうことだよ?」

「アイツら、『白いヤツ』には手先がいるだろ?」

「…手先?」

「ほら、あの『巨人』だよ!」

「ああ『巨人』か…。」

「その『巨人』の仕業だぜ絶対!俺、聞いたことあるんだ、『巨人』が魔法か何かで村を破壊するらしいってこと!」

「…でも、何のために?」

「嫌がらせに決まってるじゃねえか!」

「…それもこれも、『白いヤツ』に関係してるのか?」

「そうに違いねえ!聞く所によると、『巨人』も『白い巨人』が『黒い巨人』をいじめてるそうじゃねえか!」

「そうなのか…。」

「そうだよ!タダじゃおかねえぞ『白いヤツ』!絶対復讐してやる!」

―こうして『黒いヤツ』と呼ばれる村の者たちは、一致団結していった。


※ ※ ※ ※

「いやあこの辺りも【アスファルトでの舗装】終わりましたね!」

「まあ、【アリ】とかそこに住んでる虫には悪いことしたな…。」

「そんなこと気にしないですよ!だってほら、【シロアリ】でしたっけ?あいつら家めちゃくちゃにするんですもん!」

「【アリ】と【シロアリ】は違うけどな…。」


PS 僕はシロアリの手先ではありません。笑

ただ、人種差別が早くなくなることを願います。



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Uターンしてみると…。 水谷一志 @baker_km

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