Uターンについての検証と考察
火ノ島_翔
Uターンについての検証と考察
【諸論】
皆さんは『Uターン』という言葉を知っているだろうか。
ほとんどの人が知っていると答えるだろう。
だが……本当に貴方が知っているUターンは、正しいのだろうか?
貴方の知っているUターンはそれがすべてなのだろうか?
私は思った、日常的に深く考えず当たり前のように使っている言葉でも、何かしら知らない意味や由来、語源、用法などがあるのではないのだろうかと。
そして実は凄まじい誤用であり、知らずしらずのうちに恥をかいていることがあるのではないかと。
よってここに『Uターン』という言葉を研究考察し、一つのまとまった知識情報として保存と拡散することを目的として執筆を始めたいと思う。
【考察】
一般的に『Uターン』とは、Uの文字のようにある地点へ行き、元の地点まで戻ってくるというニュアンスで使われるであろう。だが、本当にそれだけなのだろうか
『U』とは何なのか?
『ターン』とは?
『ユー』それとも『ウー』なのか?
ここで貴方に問いたい『Uターン』とは、本当にU字に戻ってくるという意味なのだろうか?
サッカーなどスポーツの場では『U22』というものもあり、この場合は「~以下の年齢である」アンダーという意味を持つUである。
だとすると、『U』自体の意味を調査し、さらに発展として『ターン』の意味を深く調査することで、様々な可能性と見解が生まれるのではないかと考える。
【読みとUの発音について】
私はキーボードで打ち込む際半角の状態でご入力してしまうことが多い。その際
『uta-nn』
と入力してしまったのだが、ここで私はとある事に気づいた。
実は『Uターン』の読みは異なるのではないだろうか?
実はこの『Uターン』の読みは「ゆうたーん」ではなく「うたーん」なのではないかと考察の余地が発生した瞬間であった。
【Uという記号について】
Uとはアルファベット(ラテン語)の21番めの文字である。また、『U』という記号が単体で持つ意味はかなり多岐にわたる。
『ウラン(uranium)』
ウラニウムとも呼ばれる原子番号92であるウランの元素記号。
『統一原子質量単位(unified atomic mass unit)』
原子や分子のような微小な粒子の質量を表す単位
『酵素活性(unit)』
医薬・臨床化学分野で用いられる酵素活性(触媒活性)の単位
『マイクロ』
本来はギリシャ文字の「μ(マイクロ)」なのだが、環境により使用できない場合ISO 2955により代用が認められている単位。
『船舶信号旗』
国際信号旗の規定で、貴船の進路に危険ありの意味を持つ。
【Uのスラング的用法と派生使用について】
Uには公式でない使い方、俗的な使用法、スラング的な意味を持った用法も存在する。
主に英語圏で使用されるスラング的用法が『You』の代用としての『U』である。具体的に例を上げると、
『HRU(How are you)調子はどうですか』
『TU(Thank you)ありがとう』
『UR(You are)あなたは』
等が挙げられる。これらは似たような発音であることから省略されても伝わるため、自然とこの形になったものと考えられる。
このような省略や変形は英語圏だけでなく、日本でも起こっており、スマートフォンをスマホと表したり、「MB3M(まじでブチ切れ3秒前)」など日本語の頭文字をアルファベッドで表記する場合もある。この場合はヨーロッパを中心に使われてきたイニシャリズム(initialism)やアクロニム(acronym)などの頭字語を起源として生み出されたものであると考察される。
【ターンという言葉とその可能性について】
ここで『ターン』についても考えていきたい。U自体に様々な意味があったが、後ろにつくターンにも意味があるのではないだろうか?
そもそも『ターン(turn)』という言葉の語源は、ギリシャ語で「コンパス」を意味する「tórnos」からきている。
意味としては「反転」「折返し」「回転」「状態を変える」「スイッチのオンオフ」などがあり、多くの場合「方向や方針、状態を変えること」を意味する。
少し話がずれるが、似たような発音に「タン」というものがある。これはネイティブな英語発音で『テェアン(Tan)』と聞こえ、舌のことを指し、牛タンなど、焼肉屋さんでは確実に目や耳にするものである。筆者としてはこの『牛ターン』についての考察も深めたいところではあるが、恐らく今回の主題であるUターンについて関係ないものであると考えられるため、極めて遺憾ながら別の機会とする。
ターンの擬音やオノマトペ的用法としては
『跳躍時のステップ』
『鉄砲などの発射音』
『矢の到達音』
などがある。
その他、ターンの発展・可能性としては、スマホアプリTikTokなどで使われている『タンタンやないかい!』などがある。
これは「タンタンの大冒険」という漫画にでてくる主人公の髪型がモヒカン状であり、寝癖やセットで容易にできることからネタとして使用される。
余談ではあるが、タンタンの大冒険はフランス語圏であるベルギーの漫画家がかいたものである。フランス語では『Les Aventures de Tintin』であり、直訳すると『TINTINの大冒険』である。一体どんな大冒険なのか気になるが、広く普及するのは難しかったであろう。初めて和訳した人物の英断に心から感謝しよう。
【Uターンについて】
では、本題であるUターンについての調査と考察をしていく。
筆者としてはUとターンの間に省略されたハッピーが入ると予想していた。
UHターン
(アンダーハッピーターン:ハッピーターンほどではないがそこそこ旨味がある食物)
というような用法が適切だと想定していたが、調査の結果、実用的な意味は異なるようである。
2020年時点の日本では「人または何かがある地点から別の地点へと移動し、再度元の場所へと戻ること」を『Uターン』とよぶ。
派生として「Uターンラッシュ」「Uターン現象」「Uターン就職」などがある。
『Uターンラッシュ』
仕事や故郷への帰省などで本拠点を離れ、その後に本拠点に帰ってくる際のタイミングが、多くの人と重なることでラッシュ(混雑)することである。
『Uターン就職(Uターン現象)』
地方出身者が都会の教育機関へと進学後出身地に戻り就職すること。就職や転職の場面で用いられるビジネス用語である。Uターン現象の一つであり、意味を頭文字の記号に依存して複数のパターンが存在する。他には「Iターン(出身地と別の地方に移り住む、特に都会から田舎への移動を指す)」「Jターン(地方から都会に移住しその後故郷の近くの都市などに再度移住し定住すること)」「Oターン(田舎から都会へ進学後、故郷へ戻り就職。その後再度都会へと移住し就職すること)」などがある。
【まとめ】
以上のことからUターンとは、
人の流れを地図上に表した際の動きがUという記号に似ていること、そしてターンしているというところから、ふたつの言葉を組み合わせ『Uターン』となったのではないかと考えられる。
結果として、完全に一般的な想定の範囲内であり、まったくもって最初から知っていた結果ではあるが、重要なのはここにいたるまでの「過程(Process)」であると考える。
かの偉人ピエール・ド・クーベルタン(Pierre de Frédy, baron de Coubertin)も
「参加することに意義がある」
と発言している。
実際には大司教の言葉の受け売りではあるが、
「自己を知り、自己を律する、自己に打ち克つ」
とも発言していることから、特に意味がなさそうな分野や研究題材であっても真摯に楽しく自信を持って考察することを肯定しているのであろう。
本文を持って締めとするが、読者に一つでも雑学的な豆知識『トリビア』を得ていただけていれば幸いである。
Uターンについての検証と考察(完)
Uターンについての検証と考察 火ノ島_翔 @Hinoshima_SHO
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