第31話「寮母さんのお知らせ」
エレナ監視のもと放課後に魔法の練習を二時間。
そのあと深夜までみっちり呪解法探し。
そんなふうに忙しくすごしていたら六日なんてあっというまにすぎた。
もちろん……と自分で言うのは虚しいが、呪解法はまだ見つからない。
当日は力を温存しといたほうがいいわね、というエレナの判断で、俺は今一週間ぶりに部屋でゆっくりとすごしていた。
エレナは来週の予習をするとか言って図書館にいっている。
ソファに寝転がり、なにもせずぬぼ〜っと天井を眺める。
そんな至福の時間を邪魔したのはピンポーンというベルの音だった。
チッ、誰だよこの忙しいときに。
「はい?」
「どうも〜」
寮母さんだった。
「あ、ども」
「この一週間、大浴場のお風呂が壊れてて使えなかったでしょ? それがさっき直ったから、こうやってお知らせして回ってるのよ〜」
「あ、そうなんですか」
エレナに大浴場にいくのを禁止されている俺には関係な…………ん?
「使えるようになったばかりだから今は混んでるかもしれないけど、大きいお風呂でゆっくりしてね」
「はい! ありがとうございます!」
俺はぺこりと頭をさげて扉を閉めた。
むふ、とつい笑みがこぼれる。
開放されたばかりの風呂場。入浴に飢えた女子たち。そしてエレナは図書館にいっている。
チャーンス! 絶好の女湯日和じゃないか! 男としてこの機を逃す手はねぇぜ!
俺はバスタオルをひっつかんで大浴場へと飛んでいった。
鼻息荒く、胸をドキワクさせて脱衣所に足を踏み入れる。
「うっひょ……!」
ここが天国か。
見渡す限り女子高生の半裸、全裸、下着姿。いつもなら貴重なブラやパンツ姿ですらここでは無粋に思える。変な声も出るってものだ。
寮母さんの言う通り、開放されたばかりの大浴場は混雑していた。
そのおかげでひとりひとりをゆっくりじっくり観察する余裕はないが、しかし焦ってはいけない。
この奥にはさらなる楽園が待っているのだから……!
乱雑に脱いだ制服をたたみもせずロッカーに入れる。
さあ、いざ浴室へ!
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