第13話「進級試験ランキング」

 翌朝、一年の廊下の掲示板には二枚のどデカい紙が貼り出されていた。


 左は中等部からの持ちあがり組の進級テストの結果、右は俺たち外部受験組の入試の結果がランキングになったものだ。


 人だかりの隙間から、俺は自分の名前を探す。


「お、一位」


 上位二十人までが載っている各科目ごとのランキングで、俺の名前は「魔法」欄の一番上に書かれていた。

 学校で成績優秀だったことなんてほとんどないからかなりの快挙だぜ! ドヤァ!


「すごいじゃん。さすか魔法特待生」


 水色の瞳が持ちあがり組のランキングを見る。


 エレナ・スチュアートの名前はすぐに見つかった。


 エレナはほぼすべての科目で上位の成績をとっていた。


 つーかほとんど一位か二位じゃん。

 エレナが二位の科目では一位を、エレナが一位の科目では二位を、トバリ・ブライトの名前が占めている。


 こいつら、トップ争いしてやがる……。


「おまえに言われても嫌味にしか聞こえねーよ……」


「なんでよ。本当にすごいと思ってるのに」


 エレナは唇を尖らせて、恨めしげに魔法のランキングを見る。


 そこにエレナの名前はなかった。


 エレナ唯一のランク外だ。

 それが足を引っ張っているのか、全科目総合順位は六位にまで下がってしまっている。


 ちなみに持ちあがり組の魔法一位、総合一位はともにトバリ・ブライトだった。

 顔も頭もいいとか、あいつ何者だよ。


 はぁ、とエレナがため息をつく。


「あーあ、今日魔法の授業ある……。やだなぁ……」


 うわ、暗い顔……。

 せっかくの美少女が台なしだ。

 エレナのやつ、相当魔法に苦手意識を持っているらしい。


 こいつの魔法、そんなにひどいのだろうか。


 俺はその答えを二時間目に知ることになる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る