第1話テストドライブ
「西条先輩、タニさんからの伝言でとりあえずブッシュ交換したから調子を見て欲しいとのことです。」
「了解!あいつもいい仕事するからなぁ…」
今日はロードスターのテスト走行
公道を走れないこのクルマは部品やタイヤを交換をしたり、オフシーズンではコンディションを保つために時々学校のテストコースで軽く走らせる。
基本的には西条先輩が試乗して調子を見て、僕がジムカーナの練習をする、といった感じだ。
この日、タニさんはミニの部品の調達(永井先輩許可済)に出かけている。
そのため僕達が課題をまとめて、ドラテク向上や簡単な調整(と言っても基本的なセッティングが良すぎていじる必要が無いけど)に努める必要があるのだ。
レーシングカーのようなスイッチを押すと「ゴボォ…ボォン!」と力強い音が響いた。
「んじゃ、ちょっと行ってくる。」
西条先輩のドライブでロードスターは軽快に走る。
コーナーの挙動を見ると、以前よりもビシッと曲がっている…ような気がする。
悲しいことに素人の僕には感覚的にしか変化が分からない。でも、走りがしっかりしてるのは確実だろう。
しばらく走ってから先輩が帰ってきた。
「お疲れ様です。どうでした?」
「足がしっかりしてる感じがする。乗り心地も良くなったし、不満は無いかな。アライメントも問題無い。」
高評価のコメントが聞けて一安心した。
「次はお前だな、吉田。来年はお前がこのクルマのオーナーだしな。」
「うぅ…プレッシャーが…」
自分のヘルメットを被り運転席に座る。
スイフトよりも低い着座位置にも慣れたが、やっぱり新鮮だ。
再びエンジンをかけて、コースを走る。
パワステが無いから普通でもダイレクトに伝わるサスの感覚がさらに強くなった気がする。
自分でも分かるくらいハンドリングがしっかりしてて、安心感も増した感じだ。
「吉田、どうだった?」
「先輩の言うとおり、足がしっかりしてましたよ。大会まであと2週間、先輩の引退レースもこれならイケそうですね。」
「ハハッ、それなら安心だ。…お互い、がんばろうな。」
クルマをガレージまで走らせると、タニさんのヨタハチがあった。
「タニさん来てたのか。…て女子組が眺めてるアレは…」
「…マフラー…?またあの人マフラー作ったんすか?」
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