◇12月22日の相川さん。





 12月22日、日曜日。

 私は、昨日買ってきた青山くんへのプレゼントが入った小さな包みをジッと見つめながら、あと片手で数えられるまでに近付いてきたクリスマス当日のことを考えていた。

 不思議と、今の私は冷静だ。昨日、京香姉の話を聞いたからだろうか。

 どんなに長く付き合っていても、いつかは訪れる別れ。京香姉は相手のことを知りすぎたからだって言ってた。それを聞いて、私なりに色々と考えてみた。

 でも、やっぱり分かんなかった。まだ私が子供だからだろうか。

 好きな人のことは何でも知りたいって思うし、相手にも自分のことは知ってほしいって思う。

 でも、それじゃあダメなんだろうか。極端な話だけど、マンガとか小説みたいに読み過ぎると先の展開が分かっちゃうから、いつか飽きが来る。それと同じことなんだろうか?

 確かに、なんでも相手のこと理解しちゃったらドキドキみたいなのなくなっちゃうのかもしれない。人の魅力って分からないからドキドキ出来るものだと思うから。

 でも、やっぱり知りたいって思っちゃう。



「……難しいな」



 そう思う気持ちだけでいいのかな。

 知りたいって気持ちだけ。本当に知ろうとしなくてもいいってことなんだろうか。

 恋愛って難しい。分からないことばかり。



「好き、って気持ちだけじゃダメなのかな」



 今はそれでいいのかもしれない。でも京香姉みたいに長く付き合ってると、先のこととか考えるようになるから、今よりずっと難しくなっちゃうんだろうな。

 私は、青山くんとどうなりたいんだろう。もし付き合えたとして、いつまで一緒にいられるのかな。



「……青山くん」



 私は引き出しから青山くんから貰ったストラップを取り出した。

 青山くんと出逢ったのは中一のとき。隣に並んだ青山くんはカッコよくて、人懐っこい笑顔が可愛らしくて。中三になってからはドンドン大人っぽくなって、背も高くなって、後輩の面倒とかよく見てて、みんなから慕われてて。

 そういう優しいところ、大好き。


 伝えたいな。この気持ち。



 思うだけで終わらせたくないよ。知ってほしいもの、私の想いを。





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