◆12月22日の青山くん。




 12月22日、日曜日。

 何も手に付かない。勉強なんて全然進まない。もうすぐクリスマスだし、告白するって決めた日だし。そりゃあ緊張で何も出来なくもなるよ。

 まだ何も告白の台詞とか考えてないや。どうしよう、なんて言って告白すればいいんだろう。

 一年のときから好きでした? でもこれじゃあ普通だよな。

 いや、変にカッコつけて滑るのも嫌だし。ここはシンプルにいくべき、だよな。



「……ゴホン。あ、相川」



 いや、これじゃあ声作りすぎだ。低くし過ぎて気持ち悪い。こんなんじゃドン引きされちゃうじゃんか。

「相川。ちょっといいか?」

 今度は声が高くなりすぎてる。もっと普通に、普通に声を掛ければ良いんだって。緊張するな。声が裏返る。あんまり意識しないで、平常心で、いつも通りに。



「相川、話があるんだけど」



 そう、普通に普通に。緊張することない。大事なのはこの先だ。



「実は……」



 実は、実は。

 えっと、何て言おう。どうやって話を切り出せばいい? 告白って、まず最初になんて言えばいいんだ?



「……好き、だ? いや、好きでした? でしたって過去形じゃんか。これじゃあダメだ」



 告白って難しいな。俺、芦原と悠季を心から尊敬するわ。告白ってかなり精神力削られる。これ、当日大丈夫かな。俺、ぶっ倒れたりしないか?

 もっと素直な気持ちをぶつければいいんだよな。俺が、相川のことどう思ってるのか。

 一年のときに出逢ってから、あの飾らない笑顔とかちょっと天然な感じとか、そういう可愛らしいところに惹かれたこと。

 話してて楽しいし、笑顔とか見てるとドキドキするし、話し方とかも好きなんだよな。ハキハキしてて、芯が通った感じがあって、聞いてると言葉がスッと胸の中に入ってくるような、そんな話し方をする。

 そういうところが、好きだ。



「……好きだー」



 机に突っ伏し、吐き出すように呟いた。




 本当、好きだよ。



 訳わかんないくらい。





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