◇12月20日の相川さん。





 12月20日、金曜日。

 放課後。私は図書室で舞ちゃんの仕事が終わるのを待っていた。帰りに駅前の雑貨屋さんに付いてきてもらうためだ。

 莉奈ちゃんも誘ったんだけど、今日は家族で出掛けるからってササッと帰っちゃった。



「汐里、もう何買うか決めてるの?」



 舞ちゃんが返却された本を整理しながら聞いてきた。図書室だから小声で。



「うん。一応……」



 昨日の晩、散々からかわれたけど男の人の好みがどんなものか、なつ兄に聞いてみた。

 それを参考に、実際にお店で見て決めようかなって思ってる。



「へぇ。私も佳山君へのプレゼント、ちょっと探してみようかな」

「何買うの?」

「マフラーと手袋。佳山君、まだ買ってないみたいでね」

「そうなんだ」



 そういえば、この間も遊園地行ったとき、佳山君はみんなより薄着だったかな。朝もマフラーとかしてなかったし。寒いのに強いんだ。



「良いのがあるといいね」

「そうね。ブックカバーでもいいかなって思ったんだけどね」

「ブックカバー?」

「そう。まぁ、私が欲しいだけなんだけど」



 舞ちゃんって本当に本が好きなんだなぁ。暇があればいつも何かしら読んでるし、本のことも詳しいし。

 小説もラノベや文学書と幅広く読んでて、漫画も色々読んでるんだよね。将来は作家とか目指してたりするのかな。



「もうすぐだね、クリスマス」

「案外早かったわね」

「うん。12月に入ってからは特に……」

「私たちももうすぐ卒業ね」



 卒業、か。

 ちょっとだけ、胸がキュッと痛くなった。卒業ってことは、みんなとの別れが近いってこと。

 青山くんだけじゃない。舞ちゃんとも、莉奈ちゃんとも高校は別々になっちゃう。




 寂しいな。






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