◇12月18日の相川さん。




「……はぁードキドキしたぁ」




 12月18日、水曜日。

 私は玄関のドアを背にして、そのまま座り込んだ。

 今日の放課後、玄関で靴を履きかえてたら青山くんと出くわして、そのまま一緒に帰ることになった。こうして一緒に帰るのは二回目で、なんか自然と肩を並べて歩けるのが嬉しかった。

 帰りながらこの間の遊園地での話や、好きな映画の話をして盛り上がった。私と青山くん、小説のときもそうだったけど結構好きなものが似てる。だから映画の話だけでも会話が全然途切れなくて、家に着くまでずっと話し続けてた。

 前ほどじゃないけど、結構緊張した。ずっとドキドキしっぱなしで、家に入った途端緊張の意図が途切れたみたいに私はその場に座り込んでしまった。お母さんが買い物から帰ってくるまで、ずっと。


 それから私は夕飯とお風呂を済ませ、ベッドで横になった。

 今日のことを思い出す。朝もいつものように青山くんと挨拶を交わして、ちょっと会話して。それから放課後、一緒に帰れて。

 なんか、最近は青山くんと距離が近付いてるような気がするな。気のせいかな。でも、前より絶対に話せてるよね。なんか、嬉しいな。

 一緒に帰るのだって、なんか付き合ってるみたいだよね。家の前でバイバイってするの、なんか少女マンガみたいでドキドキしちゃった。

 青山くん、なんで一緒に帰ろうって言ってくれたんだろう。なんか、変に気になっちゃうな。友達になれた、って思っていいのかな。

 遊園地、行って良かった。舞ちゃんと莉奈ちゃんに感謝しないと。それと、芦原君と佳山君にも。二人がいなかったら青山くん来てくれなかっただろうし。

 今度、お礼とかしないとな。莉奈ちゃん達にはお菓子とかで良いと思うけど、男の子は何をあげればお礼になるんだろう。



「……あ」



 そうだ。青山くんへのプレゼント。実はこの間会ったときに切れちゃったから、ストラップあげたいなって思ったんだけど。どんなのがいいかな。


 今度、見に行こう。何が良いかな。




 喜んで、くれるかな。





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