◆12月18日の青山くん。





 12月18日、水曜日。

 俺は、またしても偶然玄関で相川と会って、一緒に帰ることになった。なんか自然に、一緒に帰ろうかって言葉が出てきて、相川も笑顔で頷いてくれた。

 こうして相川と一緒に帰るのは二回目。遊園地に行く前以来だ。

 遊園地に行った日から、何となく相川と距離が近くなったような気がする。そんな気がするだけなんだけど、これが気のせいなんかじゃないと良いなって心から思う。



「相川って絶叫系、結構得意なんだな」

「うん、好きだよ」

「だよな。両手離してメッチャ楽しそうに笑ってたし」

「み、見てたの?」



 相川は恥ずかしそうに両手で顔を抑えた。くっそ可愛いな、ったく。見てましたよ、超見てましたよ。可愛かったですよ。

 怖かったって言いながらスッゲー笑顔でさ。だから俺、もう一回乗ろうって何度も言っちゃって、結局は悠季と往復したんだけど。



「青山くんはお化け屋敷で物凄い叫んでたよね」

「あれは忘れて……」

「ふふっ。でも、あそこのお化け屋敷、怖いって評判らしいからね」

「相川はあんま怖がってなかったよな?」

「そう? 私だって怖かったよ」



 そうは見えなかったけどな。驚いてたりはしたけど、ビビってる感じはなかった。常に笑顔で余裕があった。羨ましい限りだ。



「ホラーとか好きなのか?」

「嫌いじゃないってだけで、自分から見たりはしないかな」

「そうなんだ。映画、なに好き?」

「んー、ファンタジーとかかな」

「恋愛系じゃないんだ。女子ってそういうの好きなんだと思ってた」

「嫌いじゃないけど、そんなには見ないかな。どっちかって言ったら洋画が好きなんだよね」

「ああ、それは分かる。ファンタジーとかアクション系は洋画の方が面白いよな」



 それから俺らは好きな映画や、今までどんなのを見てきたかって話をした。小説のときもそうだったけど、相川と俺の好みは結構似てる。相川の家までの数十分、話は尽きることなく、ずっと会話が途切れなかった。



 相川の家の前まで着いた。相川は送ってくれてありがとうって礼を言って、家の中に入っていった。

 ドアが閉まるのを確認してから俺は自分の家へと歩き出した。なんかさ、こういうのってちょっと付き合ってるみたいだよな。なんかドキドキしちゃった。

 もし付き合えたら、朝迎えに来ちゃったりとかして一緒に登校するとかいいよな。

 うわ、なんか想像したらドキドキしてきた。うーわーなんか照れる! テンション上がる!




 早く明日にならないかなー





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