◇12月14日の相川さん。





 12月14日、土曜日。

 極度の緊張感から、私は部屋の中を行ったり来たり、リビングに出てみたり、無意味に階段を上り下りしてお母さんに怒られたり。

 だって、明日はみんなと、青山くんと遊園地に行くんだもん。緊張しない訳ないし、全然落ち着かないし、もう明日のことで頭いっぱい。昨日だってあんまり寝れなかったし。

 明日は、舞ちゃんに莉奈ちゃんの家に寄ってから行こうって言われてる。きっと、私に気を遣ってくれてるんだろうな。もし駅で青山くんと二人きりなんて状況になったら、緊張でぶっ倒れちゃうよ。



「……はぁ」



 私は冷蔵庫からペットボトルのジュースを取り出し、部屋に戻った。

 もう明日着る服は用意できてる。この前、買った服。試着したときに一回袖を通しただけのそれを着て、青山くんに会う訳なんだけど。

 本当にこれ、私に似合ってるのかな。変じゃないかな。大丈夫かな。

 あ、髪形とかはどうしよう。どんなのが良いのかな。遊園地だし、アトラクションとか乗るんだから、あまり凝ったものにはしない方が良いよね。直すの大変だし。

 普通でいいかな。いつも通り下ろしたままで、ピンとか付けるくらいにしておこう。何か可愛いの持っていたかな。



「あーダメ、緊張する……!」



 どんな話をすればいいのかな。また小説の話とか? でも、そればかりじゃ飽きるよね。他に何か話題あったかな。

 うう、黙ったままじゃ感じ悪いよね。莉奈ちゃん達がちゃんとフォローしてくれるとは言ってたけど、私からも話しかけたりしないとダメだよね。

 はぁ、緊張しすぎて考えが纏まらない。青山くん、今頃は何をしてるんだろう。明日、楽しみにしててくれてるかな。困ってないかな。





 ドキドキして、今日も眠れないかも。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る