◆12月14日の青山くん。





 12月14日、土曜日。

 明日に備え、俺はガイドブックを朝から熟読し、着ていく服もお気に入りを出してシャツにアイロンまで掛けた。忘れ物がないように何度もカバンの中をチェックした。

 完璧だ。あとは明日体調を崩したりしなければ問題ない。もう完璧すぎて自分が怖いくらいだ。



「……」



 俺は携帯を取り出して、ラインで悠季と芦原に声を掛けてみた。この前、グループ登録しておいたんだ。



「えーっと、明日って10時に駅前で良いんだよな? っと……」



 同じ質問を昨日にもしたような気がするけど気にしない。

 暫くして既読が付いて、悠季から返事が来た。何回も同じこと聞くな、だって。やっぱり同じこと聞いていたか。まぁ、ちょっと上にスクロールすればあるからな、同じ質問が。

 仕方ないだろ、心配なんだよ。それくらい明日は大事な日なんだよ。



「なんか落ち着かねーな……」



 緊張しすぎて肩が凝ってきた。さっきから何回トイレに行ったことか。

 あ、そうだ。相川から借りた小説、今のうちに読み終えちゃおう。そしたら明日返せるもんな。時間も潰せるし、丁度いいな。読んだ感想とか、そういう話も出来るし。

 よし、そうしよう。




 俺はベッドに横になって、小説を読んだ。

 それにしても、明日はどんな話をしようかな。まず何に乗ろうか。混み具合で何に乗るか決めようってことになったからな……

 やっぱジェットコースターは外せないよな。相川、絶叫系大丈夫なのかな。苦手だったらどうしようかな。そしたらメリーゴーランド、はさすがに恥ずかしいか。お化け屋敷ってあったよな。あれは、入るのかな。そうしたら俺と相川が組むことになるんだよな、多分。

 俺、ホラー系苦手なんだけど大丈夫か? ビビってるとこ見られたら引かれるよな。芦原たちにそこだけは入らないように言っておかないと。




「……って、全然読めてねー……」




 明日、大丈夫かな……





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