◇12月12日の相川さん。





 12月12日、木曜日。

 今日はちょっと起きるのが遅くなって遅刻ギリギリ。急いで校門を潜ると、前に佳山君と芦原君がいた。



「おはよう」

「ん? ああ、相川。おはよう」

「おはよう、相川さん」



 芦原君、いつも莉奈ちゃんと一緒のイメージだったけど朝は別々に登校するんだ。



「そういえば、芦原君たちはいつ遊園地行くの?」

「え?」

「だって、芦原君たちも行くんでしょ? チケット、沢山あるからって……」

「あ、ああ……まだ決めてない……」



 そうなんだ。どうせなら一緒に行ければ良かったのに。その方が莉奈ちゃん達も嬉しいんじゃないのかな。そうだ、うん。そうだよね。



「ねぇ、一緒に行こうよ」

「え?」

「ね、佳山君も舞ちゃんと一緒に行けた方が嬉しいでしょ?」

「それは……まぁ」

「うん、そうしよう! 私、二人に相談してみるから!」

「あ、相川、それは……」

「あ。日曜、予定ある?」

「えっと、そうなんだ。俺ら、ちょっと用事があるんだよ。だからゴメンね、相川さん」



 そっか、残念。人数多い方が楽しいと思ったのにな。あ、それなら私たちが二人に合わせればいいんじゃないのかな。別に今度の日曜日しか空いてないって訳じゃないんだし。



「ねぇ、だったら別の日は?」

「へ?」

「だって、もうすぐ冬休みでしょ。どうせならみんなで行こうよ」

「えっと……」



 二人が顔を合わせて何か考えてるみたい。

 私、何か変なこと言ったかな?



「じゃあ、考えとく」

「莉奈には俺から話すから。井塚にも、佳山から声掛けるし」

「うんうん」

「そう? じゃあ、お願い」



 別に私から声掛けても良かったんだけど。

 でも、二人から声掛けてもらった方が嬉しいよね。



 みんなで行けるといいなぁ。




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