◆12月13日の青山くん。




「え?」

「……あれ?」



 12月13日、金曜日。

 これは一体どういうことだろうか。放課後、俺は偶然にも玄関で相川に会って、成り行きで一緒に帰ることになり、日曜に悠季たちと遊園地に行くとこを言った。

 そしたら、同じ日に相川たちも同じ遊園地に行くとか。

 どういうことですか、偶然ですか? いや、それはない。





「ていう訳で、説明してください」



 俺は芦原と悠季と呼び出し、いつものファーストフード店で事情を聞くことにした。二人は申し訳なさそうな顔をしてる。

 ったく、道理で様子がおかしいと思った。



「いや、俺らも二人に言った方が良いとは言ったんだよ。でも、井塚さんたちが……」

「なんで俺らに言わないんだよ」

「サプライズ的な……?」

「てゆうか、なんでアイツらが俺の気持ち知ってる訳!?」



 問題はそこだよ。俺の気持ちを知ってるから、遊園地で相川と一緒に遊べるようにって仕組んだ訳だろ? なんでバレてるんだ? 俺、バレるようなこと言ったか?



「そ、それは……あれだよ。俺が莉奈に言っちゃったんだ」

「お前が?」

「そう。ちゃんと言わないと相川のこと連れてきてくれないと思って」

「芦原……そうか、そういうことなら仕方ない」



 相川と遊園地で遊べるんだ。まぁ、許してやらないこともない。でも、なんで相川にまで内緒にしてたんだ?



「まぁいいや。ってことは、日曜は俺らとあの三人でってことだな?」

「ああ」

「そういうことになるな。頑張れよ、英司」

「頑張れって……」



 そうか。芦原は直木と、悠季は井塚と行動するわけだよな。ってことは、俺は相川と。そういう訳だよな。そうなんだよな。

 ど、どうしよう。緊張してきた。ヤバい、ヤバいぞ。俺、なんか胃の辺りが痛くなってきたような気がする。



「ど、どどどどどどうしたらいいいいいい」

「落ち着け英司。いつも通り、学校で話すような感じでいいんだよ」

「そんな緊張ばっかりしてたら相川に変に思われるだろ」

「そうだよな……で、でもさ……」

「でもじゃない。男なら腹を括れ」

「んな簡単に言うけどさ……」



 緊張するなって方が無茶だろ。こういうことはもっと早めに言ってくれないか。

 もしこれで当日まで知らないままだったら俺、緊張でぶっ倒れていたぞ。今でも倒れそうなくらい心臓バクバクいってるのに。

 ここで変な印象与える訳にはいかない。いつも通り、平常心で!



「……やっぱり俺、無理かも……」

「何言ってんだよ。お前、そんなんで相川と付き合えるのかよ」

「つきあっ!?」

「何驚いてるんだよ。そうなりたいから告白するんだろ?」



 それはそうだけど、いざ改まって言われると緊張というか何というか。

 そうだよな。もし、万が一にも付き合えることになったら当然デートだってする訳だし、これくらいで逃げ出してたら何も出来ないじゃないか。



「よし、男は度胸だよな!」

「そうだ、その意気だ! 頑張れ英司!」

「おお!」




 頑張れ俺、これはチャンスだ!





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