◇12月11日の相川さん。




 12月11日、水曜日。

 放課後、私は莉奈ちゃんと舞ちゃんと一緒に服を身に来ていた。日曜日に来ていく服を探すためだ。



「ねぇ、わざわざ買いに来る必要ある?」

「あるわよ、何言ってるの」

「えっと……ごめんなさい」

「汐里、これなんかどう?」



 舞ちゃんは可愛らしいスカートを私に見せた。ちょっとスカート短くないかな。さすがに冬だし、アトラクションとかにも乗るからスカートはちょっとなぁ。



「何言ってるのよ。可愛い恰好しなさいって言ったでしょ」

「そんな気合入れることもないんじゃない? だって私たちだけでしょ、行くの」

「私たちとだから適当な服でもいいと?」

「そ、そうじゃないよ」



 舞ちゃんが嫌味っぽく言ってきたから、私は慌ててフォローを入れた。

 まぁ、新しい服欲しかったから良いんだけどね。冬物、買いたかったし。でもなんで二人がこんなにヤル気なんだろうか。自分の服を買いに来たようにも見えないんだよね。さっきから私の服ばかり選んでるんだもん。

 あれかな、着せ替え人形みたいなノリで遊んでるのかな。その気持ちは分からなくもないよ。私だって親戚の子供の服選ぶの好きだったし。でも、なんか最近の二人おかしいんだよね。何か企んでるみたいでさ。



「二人は自分の服とか見なくていいの?」

「アンタはそんなこと気にしなくていいのよ。それより、これ試着してきて」

「え、試着!?」

「あ、これも一緒にね」



 二人から渡された、というより押し付けられた服を持って、私は試着室に入った。逆らうと怖そうなんだもん、あの二人。特に舞ちゃんね。莉奈ちゃんも怒らせると怖そうだけど、一番怖いのは舞ちゃんだ。ああいう大人しいタイプは怒ると怖いってのはテンプレだからね。

 それにしても、私これ着ないといけないの?

 私、普段からあんまり目立つような恰好が苦手で落ち着いた色合いのものしか着てこなかったんだけど、二人が選んだのはそれと真逆。正直言ってスカートも苦手なんだけどな。

 とにかく、さっさと着て終わらせよう。私は制服を脱いで、服を着替えた。

 ああ、なんか落ち着かないかも。こんなふわふわしたスカート、歩いてるだけで捲れそうで怖いよ。



「汐里ー? まだー?」

「も、もうちょっと待って!」



 莉奈ちゃんの声に急かされ、私は急いで着替えを済まして試着室を出た。

 着替えた私を見た二人は、「おおー」と声を合わせてジロジロと観察するように見てくる。そういうのは恥ずかしいので遠慮していただきたい。



「うん、良いんじゃない? ねぇ、舞」

「うん。可愛い可愛い」

「本当に? 変じゃない?」

「汐里、結構地味なものばかり着てたもんね。落ち着かないんでしょ?」

「う、うん……」

「じゃあ慣れるために、その恰好で帰りなさい。今店員呼んでくるから」

「え、ちょっと莉奈ちゃん!?」



 莉奈ちゃんに付いて舞ちゃんまで行っちゃった。うそ、本当に? 私、このまま帰らないといけないの?



 そ、そんなぁ……





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