◇12月10日の相川さん。




「え、遊園地?」

「そう、いいでしょ?」



 12月10日、火曜日。

 私は近所のコンビニの前で莉奈ちゃんと会っていた。ついさっき莉奈ちゃんからメールがあって、このコンビニにいることを伝えたら、その場で待ってなさいってメールが来た5分後に芦原君の自転車の後ろに乗った莉奈ちゃんが到着した。



「実はね、透哉のご両親が建設関係の仕事をしてて、あそこのテーマパークの建設にも関わったらしくてさ。それでチケットを貰ってきてくれたのよ」

「そうなんだ。凄いね」

「で、日曜日はここに行くことにしたから」

「本当!? テレビで見て、行きたいなって思ってたの!」

「でしょう?」



 ちょっと不安だったけど、そういうことだったんだ。嬉しいな、結構大きいテーマパークで、アトラクションもメッチャ面白そうだったんだよね。

 あ、行くのって私たちだけなのかな。



「ねぇ、それって他に誰が行くの?」

「うん? 私たち三人よ。あんたと舞と私」

「え? 芦原君は?」

「こいつは友達を約束があるんだって」



 そうなんだ。でもいいのかな、芦原君が貰ってきたチケットなのに。何か申し訳ないな。



「俺のことは気にしなくていい。結構多めに貰ってきたから困ってたんだ」

「そうなの? じゃあ、お言葉に甘えて……」

「俺は俺でちゃんと行くから」

「そっか」



 なら良いかな。人の厚意を無下にするのは失礼だもんね。

 なんか莉奈ちゃんが芦原君の服の裾を掴んで彼のことを睨んでいるのが気になるけど。



「それじゃあ、当日の待ち合わせ時間とかは後でメールするから」

「あ、うん。わかった」

「可愛い格好してきなさいよ」



 なんで?

 そう言おうと思ったら、莉奈ちゃんは芦原君の自転車の荷台に座っていた。私は二人にお休みと一言言って見送る。

 本当に二人は仲良いな。羨ましい。





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