◆12月10日の青山くん。




 12月10日、火曜日。

 その日の夜、晩飯食って、風呂から上がって部屋に戻ると悠季から電話が来てた。

 電話なんて珍しいな。なにか急な用事でもあったんだろうか。リダイヤルで掛けなおしてみるか。



「……あ、悠季?」

『おお。悪いな、急に』

「別にいいけど、何か急用か?」

『そういうんじゃないんだけど……』



 なんか歯切れが悪いな。何があったんだ?



「どうしたんだよ」

『お前さ、日曜日ヒマ?』

「日曜? ああ、ヒマだけど?」

『じゃあ、さ……ちょっと出かけないか?』

「お前と?」

『俺だけじゃなくて、他にも何人か来るけど』

「誰が」

『……芦原とか』



 なんだ? さっきから変だぞ、コイツ。別に遊びに行く約束しようって言うんなら、学校で言えばいいのに。



「で、どこ行くんだ?」

『テーマパーク、あるだろ? ほら、最近出来たって話題の』

「ああ、先月オープンした?」

『そう。芦原の親がそこのチケット貰ったらしくてさ、良かったら行かないかって』

「ああ、全然良いよ。行く行く、行きたいって思ってたし」

『そうか。じゃあ、また詳しいことはメールするから』

「ああ」



 そう言って悠季は電話を切った。

 なんだ、そういうことか。だったら普通に言えばいいのに。なんか歯切れ悪いから何かあったのかと思ったじゃんか。

 それにしても、男三人で遊園地か。なんか微妙だな。でもまぁ、受験勉強の鬱憤をここで晴らすもの良いだろう。



 楽しみだな、日曜日。




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