◇12月9日の相川さん。





 12月9日、月曜日。

 私はいつもよりちょっと早めに登校して、青山くんが来るのを待った。昨日約束していた小説を貸すためだ。舞ちゃんと莉奈ちゃんが私の席に集まって、なんか話をしてるけど申し訳ないことに会話が入ってこない。

 今の私はなんて声を掛けようか。それしか考えていない。

 そうこうしてると、青山くんが登校してきた。私は二人に一声かけてから彼の元に向かった。



「あ、青山くん。これ、昨日約束した本……」

「ああ、ありがとう。相川はもう読んだのか?」

「うん、昨日全部」

「早いな。俺も早めに読んで返すから」

「いいよ、ゆっくりで」



 それだけ言って、私は自分の席に戻った。緊張から解放されて胸を撫で下ろしていると、二人が何か言いたげな目で私のこと見てる。

 うん、言いたいことは分かってる。



「さっきから適当な相槌してるなーと思ったら、そういうことね」

「なるほど、青山くんのこと考えていた訳ね」

「えっと……」

「いつの間に小説貸す約束なんてしていたのよ?」

「……昨日、本屋で偶然会って……」



 昨日のことを話すと、二人は顔を見合わせて何か企んでるような表情を浮かべた。

 なんか怖い、凄く怖い。



「汐里。今度の日曜、空けておきなさいよ!」

「え?」



 莉奈ちゃんが思いっきり顔を近付けて言った。笑顔だけど怖いのは何ででしょうか。何を考えていらっしゃるんでしょうか。

 チラッと舞ちゃんを見ると、企むような笑みを浮かべてる。本当に怖いんですけど。



「……えっと、どっか出掛けるの?」

「あんたは黙って当日駅に来ればいいのよ。時間とかは後でメールするから」

「心配しなくてもいいわよ。変なことしようって訳じゃないんだから」



 そう言われても怖いものは怖いんです。凄く不安です。



「あ、ねぇ莉奈」

「ん?」



 二人がコソコソ話し出した。私にこと放って何か話してる。楽しそうに話してるのが本当に怖いわ。

 日曜日、どうなっちゃうんだろう?





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