◆12月7日の青山くん。
12月7日、土曜日。
今日は悠季と芦原を誘って、電車に乗って少し遠出をした。近所だとクラスの奴に会う可能性があるからな。
「なんで俺まで……」
「良いだろ、別に。ちょっとはアドバイスしろよ」
「……俺もプレゼント予約したのに」
「細かいこと抜かすな! たまにはいいだろ!」
今日は二人を連れて、相川へのプレゼントを選びに行く。もう12月になって一週間も経つんだ。今日買わないにしても、目星くらいはつけておかないとな。
「で、何買うんだよ」
「それを今から決めるんだろ。まぁ、お菓子とかそういうのが良いかなとは思ってるんだけど」
「百均のか?」
「それは俺がもらって嬉しいモノだろ!」
「お前、百均で喜ぶのかよ……」
「え? ああ違う違う! 俺なら百均のでも貰えれば嬉しいって話で……」
断じて俺はそんな安い男じゃない。そう言おうとしたら電車のドアが開いた。
目的の駅に着いた俺らは、改札を出て少し歩いたところにあるショッピングモールへと向かった。ここなら雑貨屋とか色々あるし、今ならクリスマス使用でそういうプレゼント向けのものが沢山置かれてる。
「あ、あれ可愛いな」
そう言ったのは芦原。オレンジ色の可愛らしいニット帽を見て、呟くように言った。どうせ直木に似合いそうとか思ったんだろ。どうせそうなんだろ。いいよな、相手がいる奴はよ。
「青山、そんなに睨むな」
「ケッ」
リア充め。俺がフラれたらカラオケ奢れよ。フリータイムで付き合えよ。
「英司。お菓子ってどういうの買おうとか決めてるのか?」
「あー、えっとチョコ系のヤツが好きだって言ってたから、それ系で」
「チョコか……クッキーとか?」
「今日買うなら、そういうのが良いんじゃないか? 青山、どうする?」
「そうだなー……マシュマロ、はホワイトデーっぽいし、ケーキは変だし。うん、クッキーとか可愛くていいかもな」
サンタとかツリーの形になってて、いかにもクリスマスっぽい。俺はこれをレジに持っていってプレゼント用のラッピングをしてもらった。
うん、これならフラれても貰ってくれるだろう。なんかフラれることが前提になってるのがあれだけど。
しょうがないだろ。俺と相川、席が隣通しだったってくらいしか接点がないんだ。向こうが俺のこと意識してると思えないし。
昨日、相川は直木の家で理生先輩のことメッチャ見てた。あれが理想とかだったら、俺越える自信ねーよ? 思わず呟いちまったもん。勝ち目ないって。相川には聞こえてなかったみたいだけど。
俺、来年の今頃もこうして全国のリア充を妬んでるんだろうか……
それはヤダな。
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