◇12月6日の相川さん。
12月6日、金曜日。
放課後、私は芦原君に頼んで莉奈ちゃんの家にお見舞いに行くことにしたんだけど、学校を出たところで青山くんが声を掛けてきた。
それで、三人でお見舞いに行くことになったんだけど。
なんか、スゴイ緊張する。だって、イケメン二人と一緒だなんてこの先一生ないかもしれないじゃない。これ、クラスの女子とかに見られたら恨まれそうなんですけど。
莉奈ちゃんの家は母子家庭で、今日はお母さんがいないらしい。でもお兄さんは帰ってきてるかもって言ってた。
ドラックストアで飲み物とか買って、莉奈ちゃんの家に行く。インターホンを押して暫く待つと、中から昨日会ったお兄さんの彼女、澪さんが出てきた。
「透哉くん。それに、昨日会った子だね。いらっしゃい」
「お、お邪魔します」
「澪さん、莉奈は?」
「部屋で寝てるよ。顔を見せてあげてくれ、きっと喜ぶ」
私たちは居間にカバンを置かせてもらってから、莉奈ちゃんの部屋にお邪魔させてもらった。
莉奈ちゃんは丁度薬を飲んでいたようで、手には水の入ったグラスを持ってる。
「あれ、相川も来たんだ。それに、なんで青山まで……」
「成り行きだ、気にするな」
「急にゴメンね、心配になっちゃって……」
「いいわよ、別に。もう熱も下がったから」
「そっか、良かった」
私はホッと胸を撫で下ろし、プリントやら何やら先生から預かってきた物を渡した。
思ったより元気そうで、本当に良かった。体調が悪いときに来たら迷惑になると思ったから。
「起きてて平気なの?」
「大丈夫よ。わざわざ、ありがとう」
「ううん、元気そうで安心した」
莉奈ちゃんと話をしていると、部屋のドアが開いて誰かが顔を覗かせた。
見覚えのあるカッコいい人。莉奈ちゃんのお兄さんだ。記憶にあるより背が高くなってて、前以上にカッコいい。もしこんなお兄ちゃんがいたら、私だってブラコンになるかもしれない。
「今日は客が多いな。良かったな、莉奈」
「兄貴、澪姉は?」
「そろそろ帰るって言うから送ってくる。透哉、あと頼んでいいか?」
「はい、大丈夫です」
「悪いな。じゃあ、みんなはゆっくりしていってくれ」
そう言ってお兄さんは部屋から出ていった。
カッコいいなぁ、いいなぁ。あんなお兄さん、欲しかったな。そんなこと思ってると、後ろにいた青山くんが小声で何か呟いていた。
なんて言ったんだろう?
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