◆12月6日の青山くん。
「って訳だ」
「なるほど、冬っぽいプレゼントね」
12月6日、金曜日。
俺は放課後になって図書室に向かった。井塚に頼まれていたことを伝えるためだ。昨日のうちに言いたかったが、休み時間や放課後は悠季が近くにいたからタイミングがなかった。
今は先生に呼ばれてていない。このチャンスを逃すものかと、俺はダッシュで図書室へと駆け込んで、今に至る。
「まぁ、百均のお菓子でも喜ぶだろうけどな」
「それは安上がりね」
井塚はクスッと笑って言った。
悪かったな。男なんて単純な生き物なんだよ。物より思い出なんだよ。プライスレスなんだよ。
「ありがとう、青山くん」
「おう」
それだけ伝え、俺は図書室を出た。
図書室の雰囲気ってどうも苦手だな。静かにしてなきゃいけないし、特に今の時期は勉強してる奴が多い。だからなのか空気がピリピリしてる感じがするんだよな。
今日は他に予定もないからさっさと帰ろう。
そう思って校門を抜けると、見たくないものを見てしまった。相川と芦原が、二人並んで歩いてる。仲良さそうに。
一体どこに行くんだ? なんで二人が一緒にいるんだ? 芦原は直木のことが好きなんだろうから、相川と付き合ってるとかそういう訳でもないだろう。じゃあ、なんでだ?
あ、もしかして直木のお見舞いか? 今日、アイツ休んでたもんな。でも、相川と直木って仲良かったっけ?
まぁそんなことはどうでもいい。芦原と二人きりなんて俺は絶対に認めないぞ。
「よう。二人でどこ行くんだ?」
「青山くん!」
「莉奈んち。相川がお見舞いに行きたいって言うから」
やっぱりな。俺は二人について一緒に行くことにした。
ちょっと強引だけど、二人の間に入って相川の隣に並ぶ。そんな気がなくても芦原と相川が並んで歩くのはなんか嫌だ。
でも、成り行きでお見舞いに行くとこになったけど、俺も直木と話をしたことないんだよな。
どうしよう……俺、場違いじゃないか?
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