◇12月1日の相川さん。





 とうとう12月になってしまった。

 私はカレンダーのある一点を穴が開くほど見つめながら、高鳴る胸を抑える。

 12月といえば、もちろんクリスマス。この日はクラスのみんなと近くのカラオケ店に集まってパーティーをすることになってる。

 そして私、相川汐里はこの日に好きな人に告白しようと思ってます。


 中学一年の頃から好きだった、青山英司くんに。



 青山くんとは、中一の時に隣同士になってから割りと仲良くしてる男子。

 名字が二人とも「あ」で始まるから、出席番号順に並ぶときはいつも隣同士。だから、何かと接点もあって、話してても楽しくて、いつしか私は彼のことが好きになった。

 去年はクラスが別れてしまったけど、今年はまた一緒になれたし、やっぱり出席番号も一番と二番で隣同士。

 残念ながら高校は別々になっちゃうし、このチャンスを私は逃したくない。絶対、絶対に告白するんだ。



「……とは言ったものの、なんて告白すれば良いんだろう」



 私は今まで、誰かに告白なんてしたこともなければ、されたこともない。小学校のときに好きな子はいたけど、結局最後まで片思いだったし。

 でも、今回はそんな後悔をしないために告白するんだ。

 あ、でも受験シーズン真っ只中にフラれたらどうしよう。告白することにばかり目がいってたけど、正直いって自信ない。

 嫌われてはいないだろうけど、そういう対象に見られてないと思うし。どうしよう、卒業式とかの方がいいのかな。その方がフラれたとしても、進学先違うから後腐れもないし。

 でも、でもでもでも。今年のクリスマスは中学生最後だし、私の誕生日だし。結果が良くても悪くても思い出になるし、何か特別なことがしたい。

 例えフラれたとしても、自分の気持ちを伝えられればそれで十分だ。やっぱり、クリスマスに告白しよう。


 どうやって青山くんを呼び出そうかな。

 クリスマス会が終わったあとに、話があるからとか言って、近くの公園とかに呼ぶのがいいかな。あそこなら街のイルミネーションも見えるから、シチュエーション的にはバッチリだし。



 ああ、どうしよう。今から緊張してきた。当日までは普通に接してなきゃいけないのに。

 今の私と青山くんは普通のお友達なんだから。




「でも、やっぱり緊張するよー!」





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