第17話:奇跡玉と階段と???

 「意外にも、呆気なかったな……」


 最初に見たときは、その威圧感プレッシャーおののいていたが、今回はまったく気にならなかった。

 むしろ、戦闘中は興奮して戦いを楽しんでいた節があった。これではまるで戦闘狂だ。

 まあ……俺も多少は成長しているのかもしれない。

 ──お決まりのアナウンスが聞こえてくる。


 〈ソードタイガー・亜種の討伐を確認しました〉


 〈経験値を獲得しました〉


 〈星級スキル:破壞帝シヴァがレベルアップしました〉


 〈星級スキル:支配帝テミスがレベルアップしました〉


 〈超級スキル:存在強化がレベルアップしました〉


 ──〔リザルト〕──

 ・奇跡玉きせきぎょく:Ⅹ


 表示されて一瞬間。目の前にビー玉ほどの綺麗な、目が惹きつけられるような蒼色の球体が現れた。


 「……は?」


 ……え? これだけ? 確かに綺麗だけど………。

 まさかの一番強かったソードタイガーの報酬がこんなビー玉くらいの玉っころなんてな……。結構期待してたんですけど。

 い、いや、まだ希望は残ってる! もしかしたらすごい効果を持ってるかも知れん!

 すぐさま鑑定。すると───


 ──〔アイテム〕──

 [名称]奇跡玉:Ⅹ

 ・これを持って起こしたい奇跡を思い浮かべると一度だけ叶えてくれる。

 ・あまりにも世界に損失がある願いだと奇跡は起こらない。

 ・ただし使い終われば壊れる。


 ……………。


 「……ドラ〇ンボールじゃん」


 まさかのドラ〇ンボールが出たんだけど。しかも普通に効果すごい。これは当たりだろう。

 しばらく奇跡玉を観察する。そうやって奇跡玉を確認し終わり、今後のことを考えるために元のエリアに戻ろうと顔を上げた瞬間、ソードタイガーの居たエリア──俺が今居るエリアの奥に黒い何かがあった。

 近付いて確認してみると、それは階段だった。さらに恐る恐る覗いてみると、どうやら下へ続く階段のようだ。


 「おぉ……。マジか」


 ここを降りるしかないのか……。まあ、ここしかないんだからしょうがないか。

 俺は一度元のエリアに戻って荷物を全て持ってから階段を降り始めた。

 どうやらこの階段、螺旋状になっているらしい。しかも長い。もう、かれこれ三〇分も歩き続けている。


 「いつまで続くんだよ……」


 そうウンザリしていると、前方に階段の終わりが見えてきた。


 「よっしゃ! やっと休憩できる!」


 そう歓喜し、階段を下るペースが自然と上がる。

 そして下り終わり、階段から顔を上げてそのエリアを見た瞬間、絶句する。

 現実世界では絶対にありえないことを俺は今、見ている。

 そこに居たのは────


 一体の巨大な、ドラゴンだった。

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