第13話:ペインスティンガー・スコーピオン・亜種

 既に見慣れたトンネルをゾンビのように唸りながら進んでいく。

 しばらく進んでいくと、またあのエリアに出る────前にいつものプロセスを踏み、陰に隠れる。

 そしてエリア内の魔物を血走った目で探す。

 何故、血走った目かというと、もちろん極度の空腹だからだ。誰か助けて。

 次の魔物から食事可能な食料が出なければ、さっきの霜降り肉を生で食べるがっつくつもりだ。……この状態なので致し方なしである。

 ────という風に脳内で思案しながら探していると、すぐに目的の魔物を発見───鑑定する。


  ──〔ステータス〕──

 [名称]ジェギー

 [種族]ペインスティンガー・スコーピオン(亜種)

 [レベル]615

 [スキル]白毒纏帯Ⅹ・凶顎Ⅸ・紫鋼体Ⅷ・高速刺突Ⅶ・自動再生Ⅵ


 〈経験値を獲得しました〉


 〈中級スキル:鑑定がレベルアップしました〉


 「………(強過ぎだろ)」


 小声でボソッと呟く。

 物凄く、抗議したい気持ちに駆られた。(誰に?) 

 鑑定がレベルアップしたが、今は無視スルーだ。

 なんだよあれ。意識していた空腹も吹っ飛ぶわ。

 まさかのソードタイガーの前に二匹目の名持ちネームドかよ。しかも、安定の亜種。

 でも、名称がジェギーって(笑)。なんか面白い。モンスターズ〇ンクかよ。

 それはさておき、外見を確認する。

 体長は約四メートルほど。テレビとかでよく見るさそりのでっかくなったバージョンといえば分かるか。

 体色は全体的に紫色だが、総身に真っ白の液体? を纏っている。

 口元には、鋭く大きい牙が無数にあって凄く怖い。

 まさに魔物モンスターという容貌だ。

 それに、なんと言っても蠍と言えば尻尾の針だ。

 針の部分だけでも、軽く二メートルぐらいあるんじゃないか? 威圧感が半端ない。

 ……まあ、見た目のことはもういいや。

 とっとと、終わらせよう。

 何故か今は負ける気がしないんでね(キリッ)。

 作戦は……あれだ。あれ。

 さっきやった、モン〇ンの落石の鍾乳石バージョンだ。あれでいく。

 蠍に見つかる前に、いつも通りのプロセスを踏み、投擲。


 シュルルッ─────────ドッガァァァァァァァンッ!!!


 勢いよく投擲した“破壞の死球デッドボール”が大量の鍾乳石を貫き穿った。

 そのままペインスティンガー・スコーピオン目掛けて勢いよく落下───命中。

 落下時に衝撃で大量の砂塵が舞う。


 「ギギィィィィィィイッ!!!」


 ペインスティンガー・スコーピオンの悲痛な慟哭が耳朶を叩く。

 が、ここで予想外の事態が発生。

 ………まあ、良い意味でだが。

 砂塵により視界が悪かったが気にせずに全身へ《存在強化》を発動。

 油断なくペインスティンガー・スコーピオンの行動を監視していたが、全く動く気配が無かった。

 恐る恐る近付いてみると────既に絶命していた。

 大量の鍾乳石に埋もれていて、総身が見えないほどだ。


 「マジかよ……。っていうか、落下した鍾乳石多くね?」


 予想外の量の鍾乳石が落下していたようだ。

 落下時の砂塵によって、全く気付かなかった。

 かろうじて見えるのは脚部だけ。

 それも「ピクッ……ピクッ…」と動いていて、気持ち悪い。弱っている証拠だ。

 なんとなく脚部をつついていると、いつもの光の粒子となり、宙へと消えていった。


 「………今回、楽勝過ぎじゃね?」


 強敵と認識していたのに瞬殺。

 しかもこれで三度目。楽勝過ぎて逆に怖いと思ってきたところだ。

 まさかの結果(良い意味)に少し驚愕していると、いつものアナウンスといつものリザルト画面が現れる。


 〈ペインスティンガー・スコーピオン・亜種の討伐を確認〉


 〈経験値を獲得しました〉


 〈星級スキル:破壞帝シヴァがレベルアップしました〉


 〈星級スキル:支配帝テミスがレベルアップしました〉


 〈超級スキル:存在強化がレベルアップしました〉


  ──〔リザルト〕──

 ・白蠍の毒刃ホワイト・ポイズナー白金級プラチナクラス

 ・白毒の死針デッドリー・ニードル白金級プラチナクラス×3

 ・火魔法の巻物スクロール:Ⅵ

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