第9話:エアーマンティス・亜種

 「おいおい、またかよ。勘弁してくれ……」


 体長は約三メートル。先程のジュエルタートルと同じくらいだ。総身は深緑色で、鋼のように光を反射していてまるで鋼鉄のようだ。

 双眸はジュエルタートルと共通の真紅に染まっており、威圧感が半端ない。

 まあ、もう諦めたよ……どうせ、この龍の聖域は強い魔物モンスターしかいないんだろ。

 あっ、《鑑定》のレベルが上がったからスキルも見えるようになってる。

 めっちゃ強そうなスキルいっぱいあるじゃん。討伐の難易度高くね?

 それは一旦置いておき、あのカマキリ野郎を倒すための作戦を考える。

 《飛翔》スキルってやつがあるから、まず破壞の死球デッドボールを牽制で投げる。

 飛ばれると厄介だからね。命中すれば全力疾走でタコ殴り、で行こう。

 命中しなかったらとりあえず様子見で。

 よし、それで行こう──────……。ん? さっきと同じじゃね? ま、いっか。

 気付かれる前に、せーのッ────


 「オラァッ!」


 気付かれる前に先手を貰う。先程と同じプロセスを踏み、エアーマンティスの頭部へと狙いを定めロックオン、“破壞の死球デッドボール”を行使する。


 シュルルッ────────ズパァァァァンッ!!!


 風船が割れたような破裂音。狙い通り、寸分違わず頭部へ会心の直撃クリーンヒット

 エアーマンティスのメタリックな頭部を勢いよく吹き飛ばした。

 そのまま、叫声を上げさせる間もなく死滅。光の粒子となって消失していった。


 〈エアーマンティス・亜種の討伐を確認〉


 〈経験値を獲得しました〉


 無機質な男性の声。どうやら今回はレベルアップしなかったようだ。

 先程と同じリザルト画面が顕示される。


 ──〔リザルト〕──

・ 纏風の鎌靴エアーシューズ:(金級ゴールドクラス)


 ……はぁー……。今度は靴か……。ちょうど今のトレーニングシューズの爪先が少し破けてたんだよね。良かったわ。………じゃなくて!


 「やっぱり威力おかしいだろ!」


 《破壞の死球》の威力がどう見ても強過ぎだろ! 序盤には絶対に出てこないであろう魔物を瞬殺って。おかしい。絶対おかしい。


 「俺………もしかして強いのか?」


 いや、勘違いしないでくれ。別に自惚れている訳では無い。決して無い。

 ただ、素人目から見ても強そうな魔物を瞬殺だよ? そりゃあ自分が強いと思っちゃうじゃん。思うよね?

 このままではバットの活躍場所が無くなってしまう。ま、使わないなら使わないにこしたことはないか。

 って、それよりもドロップアイテムの確認だ。───外見の色は深緑色で鋼のような感じ。

 先程のカマキリ野郎の特徴のまんまである。

 前から見れば普通の靴だが、かかとの部分に鋭い棘のような物が付いていた。物騒だな……でも、なんかカッコ良い。

 さっそくいてみる───の前に詳細を確認。


 ──〔アイテム〕──

 [名称]纏風の鎌靴エアー・シューズ金級ゴールドクラス

 [能力]攻撃:A 耐久:A

 [スキル]常時速度上昇(中) 強靱(中) 自動調節


 相変わらず凄いのか分からんが多分凄いのだろう。Aだしね。

 スキルは名称通りの効果だろう。常時速度上昇は素直に嬉しい。強靱はよく分からないのでまた今度だ。

 今度こそ履いてみる。すると、自動調節の効果で自分の足のサイズとピッタリと合った。

 これで、両手両足の防具が手に入った──────が、未だ食料は手に入っていない。

 おそらく、一つのトンネルに一体の魔物がいるので、次のトンネルを攻略したら今日は終わりにしたいと思う。

 お願いだから食料をドロップしてくれ!マジで!!

 ボールを拾ってから元の場所へ戻り、三〇分ほど休憩する。

 休憩が終わったら素振りなどで身体を動かす。

 さあ、次はどうか食料がドロップしてくれ! そう願いながら一つ右のトンネルの封印の障壁を通り、先へ進む。

 そして、いつも通りのプロセスを踏みすぐに魔物を発見する。

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