第2話:すみません、助けて下さい。

 

 「……んっ……うぅ……」


 あれから、どれくらい経ったか………。気が付くと、俺は硬いの上で大の字になり、寝っ転がっていた。

 そう、コンクリートではなくまごう事なき岩石の上で、だ。


 「……いっ、てて………よっこらしょっと」


 硬くなった身体をほぐしながら、のそりのそりと起床、無意識に周囲を見渡す。

 すぐ傍に自身の荷物がしっかりとあることが確認できた。

 だがしかし、それよりも問題なのは、俺が今いる───この場所だ。


 「………えっ? ええ!? はぁっ!? どこだよここ!!」


 驚愕。なんと、そこはありえないほど巨大な洞窟(?)だった。

 上下左右、至る所に岩石でギッシリと囲まれており、その表面には無数の亀裂が入って青白く発光している。

 どこか幻想的な雰囲気が醸し出されている場所だ。

 周囲は少し暗いが、岩石の青白い光のおかげで眼で視認出来る程度となっている。

 天井には鍾乳石が満遍まんべんなく垂れ下がっており、この洞窟が何千、何万年と経過していることが分かった。

 前方を見やると、奥方には大きな湖が存在していた。

 その湖も青白い光が幻想的に水面を揺らめいていて、あたかも蜃気楼しんきろうのようだった。

 さらに周囲を広く見渡してみると、この洞窟の今いる場所だけでも、広大であることが確認できる。

 どうやらこの洞窟は俺が今いる場所を中心としてサークル状になっており、外周部にそれぞれトンネルが散在しているようだ。

 その数いつつ。五芒星の形となっている。

 先程歩いていた場所は炎天下で太陽の光が燦々と降り注ぎ、身体が焼け切れるかのように暑かったのだが…………。

 逆に洞窟ここはヒンヤリとしていて、少し肌寒いくらいだ。

 そんな元の世界ではあり得ない光景を見た俺は、無意識に息を吸い込み、腹に力を入れた。

 そのまま大きく口を開けて──────



 「なんっじゃこりゃあああああああああーーーーー!?」



 ─────大声で魂の咆哮を放ったのだった。

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