第4話 衝撃

 部活オリエンテーション、トップバッターの野球部主将がステージの上で発表している。ときおり大きなスクリーンに練習風景の写真を映しながら、野球部がこれまでに何度甲子園へ行ったのかを熱心に語っている。

 野球のルールすら知らない私にとっては、ひどくつまらない時間だった。退屈に耐えかねて教室で配布されていた進行表に目を通す。前半は運動部が名前を連ねており、文化部の中でも最後の方に持ち時間を与えられている新聞部の発表まで、かなり時間がありそうだ。

 私の隣に座っている一宮くんは眠たげな眼を前方に向けるだけだ。出席番号2番、私の後ろの席の彼と話をしたいと思うが、いつも気だるげで何となく話しかけにくい空気をまとっている。

 クラスの列の一番前に座っているため、後ろに座っている綾香と雑談することもできずに、ただぼんやりと各部の紹介を聞いていた。


「次は新聞部です」

 進行役を務める生徒会の人の声で我にかえる。心臓が痛いくらいに高鳴っている。どんな人たちがいるんだろう、物語みたいな、頼りになる優しい先輩はいるだろうか。きっといるはずだ。

 希望に満ちていた私の思考は、次の瞬間には疑問符で塗かためられた。

 ステージに現れたのは頼りになるような先輩ではなく、私の父の年齢を優に超えるようなおじいちゃんだったからだ。

「新聞部顧問の伊藤です。現在、新聞部には部員がいません。新入生の皆さんの入部を待っています。以上です」

 こんな部活紹介で入部したくなる人なんていないだろう。

 さらば、憧れのスクールライフ。

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青春新聞 折戸理央 @orito_rio

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