第2話 原点

 日本最大を誇る琵琶湖を臨む町で私は生まれた。

 昔から体を動かすことが苦手で、室内で遊ぶことの多い子供だったそうだ。小学校に上がっても、その性質は変わることなく、グラウンドよりも図書室で過ごすことが多かった。

 5年生の冬、私は一冊の小説に出会った。タイトルは「こちら、駿河高校新聞部」。新聞部の部員たちがぶつかり合いながら、よりよい校内新聞を作り上げるために奮闘する青春小説だ。ありきたりで青臭い物語だが、なぜだかひどく揺さぶられた。

 その冬から、私は新聞部に対する憧れを自分の中で少しずつ育てていたのだ。

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