case24.大江直嗣
第1話
だって可愛いんだもん。
甘やかして、
甘やかして、
ドロドロになるまで、甘やかしたいんだよ。
◆◇◆
絢ちゃんを知ったのは、俺が大学に入って一年ちょっとしてから。
あの頃、彼女はまだ高校生だった。制服を着てたから高校生だって分かったけど、パッと見は中学生だ。メッチャ可愛くて、俺は一目惚れしたんだよ。
あ、そこロリコンとか言うなよ。
絢ちゃんはよく商店街を通ってて、見かける度に可愛いなって思ってた。
それがだよ。春に大学で出逢っちゃったんだよ。小っちゃくて可愛い子がさ。
その子が文月絢。
とびっきり可愛くて、俺は話しかけるタイミングを毎日毎日探してたんだよ。そしたら秋になっちゃってさ。
バイト先の店がハロウィンフェアで忙しくなっちゃってさ。
もう今年は諦めるしかないのかなって思った。ハロウィンが終わったらクリスマスもあるしさ。
……って思ってたんだけどね。
天は俺に味方した。絢ちゃんが大学の中庭で求人誌読んでたんだよ。丁度バイト先の店でもバイト募集中だったし、これはチャンスだと思った。
だから俺は、絢ちゃんをバイトに誘った。絢ちゃんも喜んでくれたし、店長の颯太さんも人手が増えて安心してた。
それからは最高に幸せだった。
バイトは楽しいし、絢ちゃん可愛いし。もう最高。
それで、絢ちゃんが『Melt』で働くようになってから二年目の秋、ハロウィンの日。俺は彼女に告白した。雰囲気に流されてキスまでしちゃった。
あのときの絢ちゃん、顔真っ赤にして可愛かったな。
その日から付き合うようになって半年。
まだ俺の名前を呼ぶのにも緊張しちゃう絢ちゃんは本当に可愛くて、ベッタベタに甘やかしたくなる。だって可愛いんだもん。
ちょっと子供扱いするとムキになるところも可愛い。小っちゃいって言うと、そんなことないですってぷんぷん怒るんだよ。なに、あの可愛いの。小動物みたいじゃん。家に持って帰りたくなるんだよ。
それくらい、絢ちゃんは可愛い。
俺には勿体ないくらい可愛い子。
絢ちゃんは自分が子供っぽいことを気にしてるけど、それが絢ちゃんの魅力なんだ。その天真爛漫な笑顔が、みんなに癒しをくれる。
店に買い物に来てくれる客や大学の友人なんかも、みんなが口を揃えて言う。
絢ちゃんは可愛いって。絢ちゃんを嫌いな奴なんていないんじゃないか?
だから、俺は彼氏として彼女を大事にしたい。みんなが大事にしてる子だから、俺はもっともっと大事にしたい。
触れるときも、飴細工を扱うみたいに優しくしてる、つもりだ。
なんていうか、絢ちゃんは本当に小さくて細いから乱暴にしたら壊れちゃいそうなんだもん。
これでも俺、頑張って耐えてるんだよ。
本当はメッチャクチャにしたい。絢ちゃんが泣くほど抱きたいよ。あの細い体を思いっきり抱きしめたい。
ねぇ、本当にいいの?
俺、止まんないよ?
◆
「絢ちゃん……」
「先輩……」
誰もいない店内。
俺は絢ちゃんを抱きしめながら、心の中で葛藤した。
いいのかな。本当に、俺の欲望のままに動いても。
泣かない? 軽蔑しない? 嫌わない?
「……俺、絢ちゃんが思ってるほど優しくないよ?」
「……それでもいいです」
「いいの? 泣いちゃうかもよ」
「泣かせてください」
ズルいなぁ、絢ちゃんは。
俺の理性、そうやって簡単にぶち破っちゃうんだもん。
俺、もうダメだよ。我慢できませんよ?
「嫌わないでね、絢ちゃん」
「嫌いになんてなれませんよ」
そう言って、絢ちゃんは一生懸命背伸びして、俺にキスしてくれた。
ああ、可愛いなぁ。そういうところが本当に可愛い。
俺は 更衣室の長椅子に絢ちゃんを寝かせた。
絢ちゃんの顔は真っ赤。目は涙で潤んでて、薄く開いた唇がなんか色っぽい。
絢ちゃん、君は十分大人だよ。大人の女性だよ。これだけ男を誘えるんだもん。俺、煽られっぱなしだよ?
俺は絢ちゃんにキスをした。
優しくない。荒々しいキス。息を奪うように、唇を食らうように。
たどたどしく絡めていく舌が愛しくて、必死に応えてくれる絢ちゃんが可愛くて、もう止まんない。
「ん、ふぅ……」
「絢……」
「な、お……せん、ぱい……」
その声もヤバいな。
いつもより高くて、吐息交じりに吐き出される声は猛毒だよ。俺の身体、もうヤバいんだけど。
熱くて、どうにかなりそうだ。
「絢……絢……」
「あ、ん……先輩……」
ブラウスのボタンを外し、オレンジ色の可愛い下着を目前に晒す。
可愛い。さっきから何回可愛いって言ってるんだろ。絢ちゃんを目の前にしたらそれしか言えないんだもんな。
可愛いって罪だよ。
声を抑えてても漏れる絢ちゃんの喘ぐ声を聞きながら、俺は感情のままに彼女を抱く。
やめてって言っても、止めてあげないからね。
俺の気持ち、全部受け止めて。
大好きだよ、絢ちゃん。
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