第13話 初めてのポーション作り
精霊たちが帰ると、クレルが申し訳なさそうに謝ってきたけれど何の問題もない。
びっくりはしたけど楽しかったし、クレルも早く帰って来てくれて嬉しかったと伝えた。
「ふふふっ、リゼって優しいよね」
ご機嫌なクレルに色々と疑問だった事を聞く。なんでスプレンドーレさんだけ大きいのか、私とそんなに変わらなかったから160センチはありそうだ。それにフォークが出てきた事『取り出す』って何なのか。
クレルはふんふんと頷きながら聞いて答えてくれた。
変わることなく小さいのは妖精で、精霊は人間と同じで成長して魔力が増えると大きくなること。ただし人間の世界に来ると体を維持するのに魔力を沢山使うため敢えて小さくなるが、スプレンドーレさんの魔力は強大で小さくする必要がないそうだ。
「すごいんだね、クレルのお母さん」
クレルは自慢気に「そうでしょ! お母様は光の大精霊なのよ」 と言った。
……え? 光の大精霊??
「光の大精霊って本で何度も読んだよ……始まりの光って言われてるあの精霊?」
「そうよ、お母様が世界に光をもたらした精霊なの。その光から光に属する精霊は生まれたのよ」
びっくりだ、びっくりする事ばかりだったけど。精霊クレルがいたのだ、大精霊がいても今更おかしいとは思わないけれど……。
まさか会うことが出来るなんて。私が感動している間にもクレルはフォークを出した説明をしていた。ちょっと感動に浸りたいと思いながらも話を聞く。
「お母様が力で里から持ってきたの、私たちには出来ないわ」
スプレンドーレさんは何でもありのようだ。一通り聞き終わったらクレルが眠そうにあくびしたので、さっき作ったベッドとワンピースを見せた。
「きゃーーー! 可愛い!! すごいわ、リゼが作ってくれたの?」
ワンピースを体に当ててクレルは飛びまわっている。作って良かった。今まで着ていた白いワンピースを脱いで花柄のワンピースを着ると鏡の前でくるくる回っている。
丈が少し長かったけれど「プリンセスみたいでいいわ! 寝る時はこれにする」と気に入ったようなので、裾直しはしない事にした。
そのまま「今日はもう寝るわ! 」と嬉しそうにベッドに入るクレルを見て私は後片付けを始めた。
精霊たちと過ごした時間の事を思い出していたら自然と歌っていた。
クレルから「……寝れないわ」と申し訳なさそうに注意された。
次の日から早速ポーションを作る事にした。
本に載っていた作り方をクレルに見せるとうーんと小さく首をひねると私たちは自然界の魔力で傷を癒すからポーションとか使わないんだけどと言いながら、作り方を教えてくれた。
「間違いではないけどまどろっこしいわね。リゼは緑の魔力を持ってるし庭ここには精霊の花もあるからもっと簡単に作れるわ」
「そうなの? どうしたらいい?」
「まず精霊の花とポーションを入れる容器を準備して、あとは水に花を浮かべてリゼの魔力を流せばいいわ」
え? それだけ?? 本には薬草を乾燥させたりすり潰したり煮たりと色々あったけど、魔力ってどれだけ便利なんだ……。
さっそくポーションを入れる容器を探すがちょうどいいのがない。蓋がついてないと品質の劣化や魔力が少しずつ大気に戻って効果が薄くなるらしい。
とりあえずジャムの瓶を用意する。
「それじゃあやってみよう。 水は力を使って出してね、その中に花を入れて魔力を流してみて。魔力が行き渡ったら色が変わるから、そしたら完成よ」
クレルに言われた通りやっていく、大きめの器に水を出して精霊の花を入れる。魔力を少しずつ流すと花がキラキラと光って消えてしまった。水はそのまま光っている。
「大丈夫だからそのまま続けて、花は魔力に溶けて水と混ざってるから」
すると水が透明から水色に変わった。
「出来たみたいね、魔力も均等に混ざってるし上出来だわ。じゃあ瓶に移していきましょう、この質のポーションなら少しくらい魔力が逃げても問題なさそうだけどね」
私が瓶に移してクレルが蓋を閉めていく。全部で5つ出来た。これがポーションかぁ、きれいな色だなぁ。本当に効果があるか分からないけれど、クレル曰く上手く出来てるみたいだ。
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