第7話 精霊との出会い
薬草は薬用植物薬用に用いる植物の総称である。そのままであったり加工をしたり有効成分を抽出したりするなどして用いられる。草本類だけでなく木本類も含む。
なるほど……当たり前だけど名前通りの説明だ。
有毒植物とは、その全体あるいは一部に毒を持つ植物。毒草とも呼ばれるが、草本類だけでなく木本類も含めた言葉の厳密性から有毒植物という言葉が用いられる。植物に含まれる毒としてはアルカロイド類が多い。
昔の本って言ってたけど丁寧に保管してあったのかすごくきれいだ。草木の絵もわかりやすく一つ一つに説明が書いてある。
「これなら高いのも納得かな」
パラパラとめくっていきポーションの作り方のページで手を止める。
初級・中級・上級・神級とあり材料や技量によりその効果をランク付けする。また作る際に魔力が必要になる為誰しも作れる訳ではない。魔力の無い物が、初級ポーションを作った場合の効果は半分以下である。また中級以上は薬草の効果を魔力により増幅させて作るため、魔力のない者が作っても効果は半減した初級のものと変わらない。その為魔力なしのポーション作りは推奨しない。
「半分以下って薬草の効果分って事なのかな? ん〜続きは、と」
初級…切り傷・すり傷・軽いやけどの治癒
中級…深い切り傷・深いすり傷・重いやけどの治癒
上級…初級・中級の怪我の完治
神級…体の欠損部位の完治・蘇生。ただし確認された事はない幻のポーション。
神級凄すぎる……神話の中の話だわ。初級ポーション作ってみたいな、これはもう失敗してもいい! 作る事に意味があるのだ!! ポーション作りとかステキだ、響だけでかっこいい!
「えーと初級ポーションの材料は、クコの実にルピ草とマルルの花か……」
クコの実はあるしマルルの花は街に売ってるルピ草も森にありそうだ。明日探しにいこう。
そろそろ寝よう、明日のポーション作りにそなえて。今日はいい夢見れそうだわ〜!
興奮しながら眠りについた私はペンダントの淡い光にも庭の花壇の光も気づかずにいた。
白や黄色、赤色に水色沢山の花が咲く花畑にいる夢をみた。優しく甘い花の匂いもする……する?
ん? 本当に花の匂いがする。
━━━━━きて……ねぇ、起きてよ〜!!!!
その声に寝ぼけていた頭は一気に覚醒する
「やっと起きた!」
目の前には羽の生えた小さな女の子がいた。……覚醒したのは間違いのようだ、まだ寝ぼけてる。もう一度寝よう。
「ちょっと! どうしてまた寝ようとするの!!」と小さな生き物が叫んでいる。
訳が分からずに見つめていると、ふよふよと飛んでベッドの横にあるテーブルにちょこんと座った。
「か、可愛い!」
薄いピンクの柔らかそうな髪に、くりっとした目に肌の色は白く形のいい鼻に唇はさくらんぼ色だ。ほっぺは怒っているのか膨らんでいる。
急に褒められて機嫌がなおったのかフフンっと笑ってそれはもうニコニコしている。
もしかして妖精なのかな、絵本で見た絵にそっくりだけど、逃げたり隠れたりする様子もないし話しかけて大丈夫かな……可愛い女の子を目の前に話し掛ける理由を一生懸命考えていると。
「私クレルって言うの。あなたリゼでしょ?」
なんとかわい子ちゃんは私の事を知っていたのか。クレルって言うんだ〜名前も可愛い! 全部可愛い!!
「人間の世界に遊びに来た時にケガをして治るまでそのペンダントに隠れて眠ってたの。やっと外に出れたわ!」
全然気づかなかった。そしてペンダントって隠れられるの? 足をぷらぷらさせながら話すクレルに聞きたいことは沢山あるけれど、まずケガは大丈夫か尋ねた。
「もうすっかり元気よ! リゼのおかげだわ!」
「私の?」
「そう! リゼは緑の魔力持ちでしょ?私たち精霊にはとても心地いいし癒しになるの。前の持ち主は魔力がなかったから中々傷が癒えなかったけどリゼが持ち主になってからあっと言う間に治ったわ!」
妖精じゃなくて精霊だった。ち、違いがわからない……。
「前の持ち主っておばあちゃん?」
それに魔力持ち?
私が持ち主になってから傷が治ったって……もしかして、水が出たり野菜が育っていたのはペンダントの力じゃなくて私の力だったってこと?
私、魔法使えるの?
ドキドキと鼓動が速まっていくのがわかる。
「えぇ、魔力は無かったけど花や草木が好きだったでしょ? だから眠るのに心地良かったの。ほとんど眠ってたんだけどリゼが持ち主になって目が覚めたわ」
確かにおばあちゃんは、草や木花が好きだった。私が今困らずにこうして畑仕事ができているのもおばあちゃんに小さい頃から教えてもらっていたからだ。
「リゼ」
クレルは私の名前を呼ぶと優しくほっぺにキスをした。くるくると温かな青い光の粒子が体を包んでいく。……温かい。
「リゼに感謝と祝福を……」
「祝福……!?」
「私の祝福はすごいんだから! リゼったら何の準備もせずに1人で旅をするんだもペンダントからは出れないし無事にこの森に送るくらいしかできなかったわ。何度、祝福をあげれたらいいって考えたか」
そう言ってクレルは悪戯っ子のように笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます