第73話 オークションの収穫

俺が陥没乳首のおっぱいちゃんとその妹を奴隷として購入するという話をしている間に古龍の鱗のお披露目は終わっていた。


古龍の鱗を見ていた商人達はステージを降りながらも興奮が醒めやらないようで古龍の鱗に付いて色々と話している。

その様子から、高額で古龍の鱗を落札してくれそうで期待が膨らんでゆく。


「オークションを再開します」


ステージを降りた男達が席に着いたタイミングでオークションの再開が宣言される。

その声と共に、会場のざわめきが消え、緊張した空気に包まれる。


「それでは次の出品物は古龍の鱗です。鱗は全部で5枚、一枚づつ、全五回で競を行います。

それでは、一枚目、最低価格、一千万マルクからスタートです」


「1,500」


「2,000」


「2,500」


凄いね、どんどんとせり上がってゆくよ。


「5,000」


一瞬で最低価格の5倍になる。


「8,000」


「9,000」


「10,000」


一億帝国マルクだ。

それでも更に落札価格は上がってゆく。


「15,000」


「15,000、15,000です、他有りませんか、有りませんね。

古龍の鱗、一億五千万マルクで落札です」


「おおおおお、一億五千万マルクか、凄い落札価格だ」


「一億五千万マルク、いくら何でも高すぎるだろう」


「あんな高額で落札してどうする気だ」


「やはり、戦争は避けられないのだろう」


「それでか。まあ帝国が勝っても負けてもインフレーションは避けられないと見ているのだろう。

帝国マルクを手放す流れが加速しそうだな」


落札価格があまりに高額なので驚きの声がさざ波のように広がってゆく。

そして段々と驚きの声から理由の考察に興味が移ってゆくようだ。


「オイゲン君、インフレーションてなんなんですか」


リンは核心に関わる言葉を拾い上げて俺に質問をしてくる。


「リン、やっぱりリンは頭が良いんだな」


「オイゲン君、解らないから教えてと言っているのに頭が良いと言われるのは少し不思議です」


リンは俺がからかっていると思っている様だ。


「少しも不思議じゃないよ。

インフレーションという言葉は凄く重要な言葉なんだ。

その言葉を取り上げて意味を知ろうとするのは素晴らしい事だよ」


「そんな、たまたまだと思います」


「う~ん、まあ良いか。

それでインフレーションと言うのは物の値段が上がる事なんだ。

それは純粋に物が不足する時や、お金の価値を保証している国の信用が落ちる時に起きる事象なんだ。

そして、今回についていえば、商人たちは帝国が王国との戦争に負ければもちろん、勝ったとしても帝国の国力は落ちると見ているという事なんだ」


「戦争に勝っても国力が落ちる事なんてあるんですか」


「そうだね、帝国は直轄地と、貴族が統治する領地の集合体だ。

貴族が戦争の負担に耐え切れず貴族領が荒れれば帝国が幾ら王国との戦争に勝っても国力は落ちることになる。

すると帝国の信用が落ちて、帝国の信用で保障されている貨幣の価値が落ちるだろうね。

ましてや、帝国が王国に負ければ帝国は荒廃して帝国マルクは確実に暴落するだろう」


「だから、商人たちは帝国マルクを売って相対的に価値が上がる物を買う訳ですか」


「その通りだよ。

商人たちはオークションに帝国マルクを売りに来たともいえるね」


そんな俺達の会話の間にも競は続き、結局五枚の古龍の鱗は合計で8億マルク強で競り落とされた。


驚くべき高額だ。


その興奮が冷めやらない内に本日最後の商品がステージに並び始める。

リーンバース家のご息女やリーンバース家に連なるご息女達だ。


流石にご息女のルーミスは服を着ているが、他の女達はパンティーしか許されていない。

トップレスで恥ずかし気にステージに立つ女達。


でも、おっぱいを隠す事は許されていないのだろう。

皆腕を後ろで組んでいておっぱいは丸見えの状態だ。


そんな彼女達の姿を見てリンの顔が悔しげに歪む。

そして、1人の女に目を留めると目を伏せた

必死で自分を抑えているのだろう。

小刻みに身体が震えている。


リンの姉妹か従姉妹がステージに立っているのか?

悔しいだろうが今は堪えてもらうしかない。


そして古龍の鱗でしたように商品の確認の時間が用意される。


わらわらと男達がステージに上がり、まじかで女達は品定めをされる。

でも、思ったほど品定めをする男達はいないな?


「ハーツさん、品定めをする男達が思ったほどいないのですが」


「オイゲン様の古龍の鱗のせいですよ」


「古龍の鱗のせいですか?」


「そうですね、リーンバース家のご息女達を買えるような高額の資金を動かせる商人は限られます。

その限られた商人が当初の予定にない古龍の鱗の入札に資金を使ってしまったのです。

そうすると、リーンバース家のご息女達を買えるだけの金を用意できる商人はもうそうはいないのでしょう」


「そうすると、落札価格は下がりますかね」


「品定めをしている男達の中に大金を動かせそうな者は見当たらない気がします。

単なるスケベ心でステージに上がっている男がほとんどではないでしょうか?

持っていれば価値が上がる古龍の鱗と買った時から値が下がって行く女奴隷では勝負にならなかったという事ですかね」


確かにイヤラシイ顔で女達の裸を見ている男たちには下心しか感じられない。

とても大金を投じるか否かの判断をしている顔じゃない。


「皆さまの品定めも済んだようですので最後の商品の競を始めます」


「開始価格は五千万マルクからです」


「5千万マルク、5千万マルク、入札者はいませんか」


セラーは声を張り上げるが誰も入札をしない。


「ハーツさん、入札者が居ないとどうなるんですか」


「今回は開始価格が下げられると思います」


「開始価格が下がります、4千5百万マルクです」


ハーツさんの言う通りに開始価格が下げられたが、やはり誰も入札をしようとしない。

でもこれは俺にとっては好機だ。


「5千万マルク」


俺が5千万マルクで入札をする


「5千万マルク、5千万マルク、入札者はいませんか」


「5千万マルク、落札です」


だれも入札しなかった5千万マルクで入札する事で無事に落札ができた。

五千万マルクを提示すれば競る相手が現れないと思ったのは正しかったようだ。


「オイゲン様、ありがとうございます」


リンが俺の手を握りしめて感謝の言葉を述べてくれる。

震えるリンの手が落札した女達の中にリンの姉妹か従姉妹がいるのだと教えてくれる。


「ああ、上手い事落札する事ができたよ

リンも仲良くできる仲間が増えて嬉しいよな」


誰に聞かれているか判らないので俺達は当たり障りの無い言葉だけを掛け合って喜びを共有する。


すると、二人の男が近づいてくる。

オークションの主催者と俺が落札した商品の売り主だ。


今回の商品は落札者の俺が確認して初めて落札が確定するからだ。

オークションの主催者と売り主と俺の3者でリーンバース家のご息女が処女であることを確認しないとならないのだ。


そう思って、俺はリンをハーツさんに預けてリーンバース家のご息女が待つだろう部屋へと向かった。


だが、招き入れられた部屋には何故か落札した女達ではなく、オークションの会場で接待をしていた女達が並んでいる。


「オイゲン様、驚かれたと思いますが、この部屋にオイゲン様をお呼びしたのはこの女達を購入いただけないかとご相談したかったからなのです」


「この女達ですか?

オークションの間に買われてゆくと聞いてますが、売れ残ったのですか?」


「実は売れ残ったと言うか、キャンセルされたのです」


キャンセルねえ。

その言葉で大体の事情は想像できてしまう。

古龍の鱗に金が掛かり過ぎたのだろう。


「それは、私が古龍の鱗をオークションに掛けたせいですか」


「いえ、オイゲン様が原因などと申し上げる気はございません。

伏して、オイゲン様のお優しさでお助け頂きたいのです」


「助ける?、私がですが」


「はい、後ろにいる女達ですが、殆どが帝国に敗れた国の貴族に連なる娘達なのです。

奴隷ではありますが、みな上級奴隷です

ですから貴族や豪商に上級奴隷として買われるために今日は接待をしていたのですが、残念な事に売れ残りました。

このままだと平民向けの娼館に買われ娼婦になるしかないのです」


「だから、俺が買う事で助けろと。

俺が買ったとしても良い扱いをするとは限らないだろう」


「そうかもしれません。

ですが、この女達を買い取ると手を挙げている娼館に行けば悲惨な未来が確実に待っているのです。

大きな声では言えませんが、かの娼館では3年以上生きながらえた娼婦はいないのです」


こいつ、女達に聞こえる声で何を言ってるんだ。

女達が動揺しているじゃないか。

何人もが嗚咽をあげて泣き崩れている。


「私に無私の慈愛があるとでも。

私にとっての利益は無さそうですが」


「実は売れ残りを娼館が買い取る価格はとても安いのです。

その金額でオイゲン様にお売りします。

それに、女達が暮らせる屋敷もお付けします。

いまは、オイゲン様が落札された貴族の女達が暮らしておる屋敷です」


暮らしている屋敷ねえ。

確かリーンバース家の別荘で俺が購入したリーンバース家関連の女達が貴族を相手に春を売らされていた屋敷だろう。


「ただで屋敷ですか。

何故そこまでしていただけるのですか?」


タダほど高い物は無いしな。


「私共としましても、オイゲン様がポッズに拠点を持って頂けるのは大歓迎なのです。

ですから屋敷の提供出来るのは喜ばしい事なのです。

オイゲン様も女達を他の街に運ぶのは大変かと思いますし」


ふ〜ん、俺の枷ってわけかな。

まあ、亜空間倉庫での移動手段が有れば枷にはならないんだけどね。

まあ、俺との関係を深めたいと言うのもあるのだろう。


「分かりました、購入させていただきます」


俺はこの話に乗る事にした。

ポッズに拠点が欲しかったので渡りに船の話だしね。


「それでは、引き渡し等の手続きは明日でお願いします」


どうやらリーンバース家の御息女の処女の確認は明日するようだ。


こうして俺は女達が平民相手の娼婦に落ちることから救う事になったのだった。




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