第49話 荒野の夜

目の前でキノコ雲が崩れてゆく。

だが、その下の地面は未だに高熱のままだろう。

爺さんが住んでいた洞窟に龍の卵を回収しに行くのはまだ無理だな。


「銀、サミー、今日は予定通りにここで野宿だ。

明日は魔法の効果の確認に下に降りるぞ」


「主様、予定では効果を落としながら何度かこの魔法のテストをすると言ってたぞ?」


「ああ、そのつもりだったが、それは明日魔法の効果を下に降りて確認してからやることにするよ」


龍の爺さんの卵に悪影響は出せないからな。

卵の回収までは魔法は封印だな。


そして銀が耐えきれずに俺に質問をしてくる。


「主様、その…身体が大きくなってませんでしょうか」


そりゃあ、8歳の身体が12歳の身体になったんだ、大きいに決まってるよな。


「ああ、大きくなったぞ。今は12歳相当の身体だな」


「なあ、オイゲン、喋り方も変わったよな」


サミーも興味津々で会話に参加してくるな。


「言葉か、身体の成長に合わせて少し変えてみたよ」


「少しね、そう、少しなんだ?」


サミーの顔にはどこが少しなんだと書いてあるようだ。

俺の説明にサミーは納得し難いようだが、否定も出来無いせいか無理矢理納得したようだ。


「なあ、主様、主様が使った魔法は火魔法なのか」


火魔法の使い手の銀としてはあんな破壊力を持つ火魔法に興味が有るのだろう。あの魔法が何か知りたいんだろうな。


「火魔法とは違うな。高熱を発しているが火から熱が出ている訳では無いしな」


「確かに燃えるという感じではありませんでした」


「それと激しい爆風が起きている。丈夫な建物でも簡単に吹き飛ばされる程のものだ」


「本当に恐ろしい魔法ですね」


「そうだな、恐ろしすぎて簡単には使えない魔法だ。

だから明日は効果を落とした魔法のテストをしたいんだ」


「そうか、ではオイゲンはやはりこの魔法を使……いや、何でも無いよ」


サミーは言葉を濁したが言いたいことは分かる。

こんな魔法はあってはいけない、使うべきでは無い。

本当はそう言いたいんだろう。


その気持ちは良く分かる。

俺だって恐ろしいからね。


でも、帝国の軍隊が攻めてきた時に黙って蹂躙されるわけにもいかないだろう。

使いたくは無いけど、使わなければならなくなったら使うさ。

そうならない事を願ってるがね。

俺は無理にでもそう思う。


そして沈黙の時間が流れて行く。

魔法の事、俺の身体の事、理解し難い事が重なって起きたせいだろう。

2人とも恐ろしがっている。

当然だな。


だから銀もサミーも口が重いんだ。

色々と聞きたいことも有るだろうが口には出し難い。

そんな感じなんだろうな。


そしてそんな重苦しい雰囲気の中、日が落ちて行く。


「オイゲン、取ってきたぞ」


サミーと銀が薪を抱えて戻ってきた。

ここは荒れ地で薪が拾えないので森があるところまで2人で戻って拾ってきてくれたのだ。


「それじゃあ、火を付けますね」


組み上がった薪に銀が魔法で火を付けてくれる。

流石に火魔法の名手だ、すぐに薪が燃え上がる。


俺たちはその火を使って携行食の干し肉と乾燥野菜と塩でスープを作り、固いパンと合わせて簡単な夕食を取る。


「日が落ちて寒くなったので、温かいスープは嬉しいです」


本当だ、塩味だけで大して美味しくないスープでも野営では有り難く感じる。


「塩だけじゃなくて胡椒とかも有ればもっと美味しいスープになるのにな」


「そうですね、オーランドで胡椒が買えると良いんですけど」


そんな話をしている内に食事は終わる。

そうすると、もうやることもない。


ただ、暗闇の中で俺たちを照らす焚火の明かりをぼーっと見つめているぐらいだ。

そんな俺を見て疲れていると気遣ってくれたのだろう。


「オイゲン、見張りは私と銀でするよ。だからオイゲンはしっかりと眠って明日に備えてくれ。

最初の見張りは私がするので銀とオイゲンは寝ていいぞ」


サミーが最初の見張りを買って出てくれる。

俺は見張りは免除らしい。

正直、気が張り詰めていてクタクタなので助かる提案だ。


「そうか、助かるよ。

銀、サミーの言葉に甘えるとしようか」


「分かりました、主様」


銀はそう言うと毛布を出してくる。


「主様、この毛布に入ってください」


「なあ、銀、毛布は一枚しかないだろう。だから銀もこっちに来い」


俺は毛布が一枚しかない事を知っているので銀を誘う。

それに1人より2人の方が暖かいしね。


「それでは失礼します」


俺と向かい合うように銀が毛布に入ってくる。


「やっぱり、主様は大きくなっているんだな。

私の胸の所に頭が来てるぞ」


そう言って銀が俺の頭を抱え込むので、俺の顔が銀のおっぱいに埋まる。


「苦しいぞ」


俺はおっぱいから顔を離して銀に文句を言う。


「主様、どうしたのだ?

銀のおっぱいに顔を埋めるのが好きだったろう」


確かにね。

でも今は気恥ずかしい、少し心が育ったせいだ。

俺はモゾモゾと身体を動かして自分の顔を銀の顔の前に持って行く。


「なあ、銀、心も育ったって言っただろう。

いつまでもお子ちゃま扱いするんじゃない」


「ふ〜ん、主様は大人の階段に足を踏み入れたのか?」


不思議そうに俺を見る銀の顔があまりに美しく俺は見惚れてしまう。

更には銀に対して愛しさを感じる。

今まではこんな事は無かったのにな。


「主様、銀の顔に何か付いてますか」


不思議そうに銀が尋ねてくる.


「いや、銀の顔が綺麗なので見惚れていたんだ」


「ふええええ、主様、銀をからかってはいけません」


どうしたんだろう?

銀の顔が真っ赤になって俺から目を逸らしてしまう。

それに銀から伝わってきる心臓の鼓動が少し速くなっている。


「なあ、銀、目を逸らさないで俺を見ろよ」


もっと銀の美しい顔を見ていたい。

そんな欲求が言葉になる。


「主様は銀の顔を見たいのですか」


恥ずかしそうな銀。

気が付けば俺は銀の匂いに包まれている。


銀の匂いに包まれるのは初めてかな?

違うな、今までは気に留めていなかったんだ。

今は銀の匂いに俺が惹きつけられているんだ。


「ああ、銀の顔が見たいんだ。

それに銀は良い匂いがするしな」


「匂い、銀は臭いますか?

すいません身体も拭いていませんから」


銀が恥ずかしそうな顔をする。

俺が匂うと言ったせいだ。


「なあ、銀、恥ずかしがらなくて良いんだぞ、俺は良い匂いだって言ったんだから」


そう、この匂いは女の匂いだ。

前世で彼女と抱き合っていた記憶が戻ってくる。

ダメだ、俺を振って離れていった女の記憶など要らない。

そんな女より何倍も美しい銀と俺はいるのだ。


「なあ、銀」


俺はそう言いながら銀の顔に自分の顔を近づける。


「主様、顔が近いです」


恥ずかしそうに銀が言う。


「いやか」


俺が尋ねると、返事の代わりに銀は目を閉じる。

そんな銀の仕草が昔の女の記憶とダブル、忘れるんだ!


そして昔の女の記憶を上書きするかのように、俺は銀の唇に自分の唇を添える。

俺の唇を通して銀の柔らかな唇の感触が伝わってくる。


どの位そうしていたのだろう。

俺は銀の唇から自分の唇を離して銀の顔を見つめる。


「主様」


柔らかな銀の笑顔が俺を見つめている。


そして銀の顔が近づいてきて俺と銀の唇が触れ合うと、銀の舌が俺の唇を割開き入ってくる。


銀の舌と絡み合う俺の舌。

2人の唾液が混じり合う。

自分の共とも銀の物とも分からない唾液を俺は飲み込む。


そして銀の舌が俺の舌から離れてゆく。

次には、銀の唇が俺の唇から離れるが唾液の糸が名残惜しげに2人を繋いでいる。


「主様」


「銀」


前世の記憶に導かれるように、 俺の手が銀の服の中に侵入して銀のおっぱいを掴む。


「ヒャン」


可愛い声を銀があげる。


「主様、銀のおっぱいを吸いますか」


俺がポーションを作ると思ったのか銀が服のボタンに手をかける。


「いや、このままで良いよ。銀のおっぱいを掴んだままで寝たいんだ」


「銀のおっぱいを掴んだまま眠るのですか?

やっぱり、主様はお子様ですね。

では主様、その脚は退けてくださいな」


どうやら銀には俺が母のおっぱいを求める子供に思えるようだ。

だから俺も意地悪を言う。


「脚はどけない。この方が銀の良い匂いが嗅げるしな」


そう言って自分の脚で銀の脚を割り開き、2人の脚が絡み合う。


「主様、それは」


そんな銀の言葉を封じるように俺は自分の唇で銀の唇を塞ぎ、今度は俺の舌を銀の口内に割り入れる。


「クチュ、クチュ、クチュ」


絡み合う2人の舌。


「ム、ム、ムウウ」


銀の口からは言葉にならない音が出る。

そして俺の指が銀のおっぱいの頂にある蕾を握りしめる。

その刺激が更なる快感を求めるかの様に、銀の脚が僕の脚に絡みついてくる。


「銀、俺を子供扱いするな」


「ひゃ、ひゃあい」


銀の身体を染める快感のせいだろう。

むせ返る様な銀の匂いが毛布の隙間から立ち上ってくる。

惚けた顔の銀が俺を見つめている。


「主様、もっと」


銀の言葉に後押しされて、俺は自分の中に籠る恐れに突き動かされる様に銀の唇を、銀のおっぱいを、銀の匂いを求め続ける。


そう、恐れだ、俺は自分が怖いんだ。

その気になれば都市一つ簡単に滅ぼせるこの力が。

それを実行しそうな自分が。


そんな恐怖から逃れる為に銀に俺は溺れるのだった。










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