第15話 病気治療ポーションができたよ

父さまがシャロンを説き伏せてくれたのでイライザがまた僕の乳母になってくれました。


そして、今日はイライザの職務復帰の初日です。

予想外でしたが、乳兄弟のエリーもイライザと一緒に来てくれました。

シャロンのせいでエリーとも疎遠になっていたのでこのサプライズはとても嬉しいです。


エリーはすぐに僕と遊びたがりましたが、先ずはイライザからおっぱいを貰わないといけません。

その為に父さまはシャロンを説き伏せたのですからね。


ですから、僕はイライザの手を引いて部屋へと向かおうとしましたが予想外の事が起きました。

なんと、シャロンが現れて、イライザの僕への授乳を見届けるというのです。

どうしてなんでしょうか?

シャロンは僕の何を疑っているのでしょうか?


当然、僕にはやましい所は無いのでシャロンが望む通りにシャロンも部屋に招きます。

そして、シャロンが付いてくるならと母さまも一緒にいらっしゃいました。


僕の部屋に着くとイライザが僕のベッドに座り僕を招いてくれます。

僕はシャロンと母さまに見られながらイライザの膝に座るとイライザがおっぱいを出してくれました。

僕はイライザのおっぱいの乳首を咥え吸うのです。


僕の口がイライザの乳首に触れるとイライザはビクっと身体を震わし、『はあああ』と声を上げます。

その様子を見てシャロンの不機嫌さが増しているようです。

本当に、7歳児をシャロンはなんでそこまで気にするのでしょうね。


「あん、オイゲン様、少しも変わらずに、いいえ、あの頃よりの優しく、そして逞しく、イライザの乳首を咥えてくださるのですね。

それね、ああああ、そう、飲んでください、もっと強くイライザのおっぱいを吸って、強く乳を吸い出して、ああ、そうです、オイゲン様は良い子ですね、もっと、もっといっぱい、そうイライザのおっぱいを飲んでください」


「ギリ」


シャロンが歯ぎしりする音が僕の耳に届きます。

でも、もう僕はシャロンを気にする余裕はありません。


夢中でイライザのおっぱいを吸って、イライザから魔力をもらいます。

そうするうちに、僕はすっかりとイライザの匂いに包まれています。

僕の記憶の中にあるイライザの匂いです。

記憶の中では微かに香っていたイライザの匂いが今は強く僕を包み込むように香っています。


「あ、あ、ああ、ああああ、そうです、吸って、もっと吸ってください。

どうぞ、どうぞオイゲン様、イライザのおっぱいを吸ってください」


イライザが僕の頭を抱え込みます。

僕の顔がイライザのおっぱいに埋まります。


「ああああああああ~」


ひときわ高いイライザの声。


「ふ、ふざけるな」


シャロンさんが僕達に向かって駆け出します。


「な、シャロン、なにをする気、だめ、辞めなさい」


母さまの声。


そして、イライザの身体が薄く光に包まれます。


えええ、こんなの知らないよ。

僕は驚きます。

そして、頭に声が響きます。


「この女は病魔に侵されています、余命は六か月です。

この女を救うにはこの女の魔力で作って病気治療ポーションを2週間毎に4本飲ませる必要があります。

この女の魔力で病気治療ポーションを作りますか(Y/N)」


なんですか、これは?

病気治療ポーション?


いや、それより、イライザの余命が六か月って何ですか!

落ち着け、僕、落ち着くんだ。


イライザの魔力で病気治療ポーションを作って飲ませればイライザは助かるんだから。

そう、イライザを助けられる!

だから僕は答えます。

病気治療ポーションを作ると。

すると僕の手の先が光出します。

そして、その光のなかに現れたポーションをつかみ取ります。


「オイゲン、光ったわ、イライザの身体全体が。

ねえ、オイゲン、オイゲンなら理由は判るのかしら」


母さまの冷静な声、シャロンは固まっています。


「ねえ、イライザ。イライザは最近体調が良くないんじゃないの」


僕はイライザに尋ねます。

そんな僕の問いにイライザは答えません、ただ伏せた目が僕の質問の答えを語ってくれます。


「ねえ、イライザ、僕の手にあるのはイライザ専用の病気治療ポーションなんだよ。

イライザは病気でしょう?

これを含めて二ヶ月の間に4本の病気治療ポーションを飲んでくれればイライザの病気は直るんだよ」


はっとした目で僕を見るイライザ、そして悲しそうに話しだします。


「オイゲン様、イライザはエルフだけが掛かる風土病に掛かっています。

この病は純潔のエルフであれば少し重い風邪程度の病気です。

でも、私のように混ぜ物のエルフには不治の病になります」


「イライザ、お前は何を言ってるんだ。そんな話俺は聞いてないぞ」


「御免なさい貴方、でも不治の病はエルフの血を持つ私の運命、私が受け止めるべきものなの。

だから、貴方には話さなかった、話してもどうしようも無いんだし」


「はあ、ふざけるな」


シャロンさんは怒りの沸点が低いみたいですね。


「イライザ、シャロン、僕の手に何があるとさっき言いましたか」


2人が僕を見つめています。


「この手にあるのは、イライザ専用の病気治療ポーションと言いましたよ。

夫婦喧嘩は不要です、イライザ、このポーションを飲むんです」


「オイゲン様、エルフの風土病を治す薬なんて無いんです。

仮にそんな薬があればどれだけ高価か、私達が買えるような薬ではないんです」


なにを恐縮してるんですかね?


「イライザ、このポーションはイライザ専用ですから他の人の役には立ちません。

それにイライザの魔力から作ったのでお金も掛かっていません。

それとも僕の作ったポーションなど怪しくて飲めませんか?」


「いえ、そんな事は」


「では、飲みなさい」


僕はイライザの手にポーションを押し付けます。


「オイゲン様、本当によろしいのですか?」


「イライザ、くどいですよ。さっさと飲みなさい」


僕に促されたイライザはやっとポーションの瓶に口を付け、中身を飲み干します。

そしてポーションの効果を吟味するかのように目を閉じて感覚を研ぎ澄ましています。


「ああ、判ります、体の病魔が弱まるのが判ります」


やっぱり、発光するんですね。

イライザは全身を薄く輝かせながら跪いて僕の手に口づけをしています。


「ああ、オイゲン様、イライザの忠心をオイゲン様に捧げます」


「な、お、お前、そこまでオイゲンに」


「貴方、何を言っているの。

オイゲン様はこの世に無いはずの不治の病の治療薬を作れる方なのよ。

どれだけ尊い方か貴方には判らないの!」


「お、おう」


シャロンはイライザの剣幕に圧倒されています。

やはり、夫は妻には勝てないんですね。


「ねえ、オイゲン、イライザはオイゲンが作ったポーションで健康になれるのね」


「ハイ、母さま、二週間おきに後3本飲む必要はありますが、確実に病気は治ります」


「そう、イライザ、良かったわね」


「ありがとうございます。オイゲン様には感謝の言葉も御座いません」


イライザは母さまに答えた後、シャロンを見つめます。

その視線に気づいたシャロンは躊躇いながらも口を開きます。


「なんだ…その…オイゲン、悪かった。

イライザの病気の治療をよろしく頼む。

それと、オイゲンが作るポーションがスゲーのは分かったから、俺の家族がそれに協力するのは当然だな。

これからも協力しあうよ」


「あなた!」


不器用なシャロンの謝罪はイライザの癇に障ったようですね。


「まあ、シャロンらしいわね」


母さまが空気を和らげてくれます。


「すいません、奥様、オイゲン様」


イライザがシャロンの口の悪さに恐縮していますね。

まあ、シャロンですから仕方ないですよ。


「シャロンも納得してくれたし、良かったですね」


僕はシャロンの言葉遣いは咎めずにシャロンが納得したと言質を取る事で実利を取ります。


「ああ、納得したよ」


相変わらず、嫌そうな声ですね。

まあ、良いですけどね。


「それで、オイゲン様、この病気は申し上げた通りエルフの風土病です。

それで、厚かましいお願いになるのですが、エリーも調べては貰えませんでしょうか」


そうですね、エリーも掛っている可能性はあるのでした。

だけど……


シャロンの目が怖いです。

どうしましょう。

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