第14話 イライザ騒動が再び勃発したよ

父さまが領の軍備の増強に乗り出しました。

先ずは兵の拡充と練度の向上です。


そのために矢継ぎ早に策を打ちます。

始めに着手したのは訓練場の整備です。

畑の為に開墾していた領地の一部を兵士の訓練場として整備します。


訓練場に必要なのは平坦な土地だけではありません。

兵達を収容する建物や馬小屋、武器、武具の専用の倉庫などが必要です。

それと、兵站用の資材や荷運び用の馬車や馬なども必要となります。


そして、兵士達には訓練用の武器や、時専用の武器や武具を買い与えます。

新たに設立した予備役の老人兵や若者からなる見習い兵には週に一度の訓練への参加の義務と対価としての手当の支給を始めました。


これらの取り組みにかかる費用を父さまは領地の収入の蓄えから出そうとされますが、蓄えはみるみると減ってゆきます。

父さまには僕が作ったポーションを売って兵力の拡充の費用にする様に進言したはずなのに、何故かポーションを売ろうとはしないのです?


僕は父さまのやる事に意見をする立場には無いのですが、流石に心配になって父さまには訪ねる事にしました。


「ねえ、父さま。どうして父さまはポーションを売ってお金を得ようとしないのですか」


僕のストレートな質問に父さまが苦悶の表情で答えます。


「領地の経営の観点からすると、ポーションを売ってお金を得る事は行わなければならない。

減って行く蓄えを見ればそれは一目瞭然の事だ。

でもねオイゲン、父さまは幼いお前が作ったポーションを大人の私が売りさばいてお金を得る事にどうしても抵抗があるのだよ。

これは父さまの矜持の問題なんだ」


父さまの矜持ですか。

僕は父さまのプライドを傷つけてしまったのでしょうか?

父さまの苦悶も判るのですが、領地を守ることは父さまひとりの矜持よりも大切です。

領地が滅んでしまっては矜持も何も無いのです。


「父さま、父さまは僕にこの領地を継がせないおつもりなのですか?」


僕は父さまには決断を迫る為の問い掛けをします。

そして、父さまは僕の突拍子も無い質問に驚かれていますね。


「オイゲン、何を言うのだ、お前は私の跡取りだぞ。

お前が継がなくて誰がこの領地を守り、育てていくんだ」


「ハイ、オイゲンも微力ではありますがそのように志しております。

ですから、オイゲンは将来私の物になるこの領地がなくなったり衰退したりするのは困るのです。

ですから、父さまはポーションを資金源にする事に負い目を感じられる必要など無いのです。

オイゲンが将来の自分の財産に投資しているだけなのです」


「まあ、オイゲン」


母さまが感嘆の声をあげられます。


「そうだな、オイゲン。父さまはオイゲンにこの領地を今以上に良くして渡す役割があるのだな。

その為に父さまはオイゲンの資金を活用させてもらうよ」


父さまは迷いを吹っ切ったみたいです。

では、父さまに見返りをお願いしましょうか。


「父さま、代わりと言ってはなんですが、オイゲンは父さまにお願いがあるのです」


「願いか。よいぞ、父さまにはできる事なら何でも聞いてやるぞ」


「それではオイゲンに乳を与えてくれる人を増やして欲しいのです。

今のままではリリーの負担が限界となりポーションの作成本数がもう増やせないのです」


「あら、オイゲン、それならば母さまのおっぱいを吸えば良いでしょう」


この話を聞けば母さまはきっとそう言うと思っていました。

でも、母さまのおっぱいは吸えません。

僕が母さまのおっぱいを吸う事で母さまに性的な喜びを与えてしまうリスクは全力で排除しないといけないのです。


「母さま、母さまのおっぱいはメアリーの物です。

メアリーの事を思うとオイゲンは母さまのおっぱいを吸うわけにはいかないのです」


「では、どうするの?」


「父さま、イライザの助けが必要です。

イライザをオイゲンの乳母に戻して欲しいのです」


イライザの名前で父さまの顔が歪みます。


「イライザか、シャロンが嫌がるな。

でもオイゲンの言う通りだ。

ポーションの円滑な作成の為にできる事はやらないとな。

わかったよ、シャロンを説得するさ」


父さまとシャロンさんは幼馴染です。

それ故に父さまは家臣であるシャロンさんを家臣としてでは無く友人として接することが多いのです。


そして、イライザさんを僕の乳母にすることをシャロンさんはとても嫌がっています。

父さまはシャロンさんとの関係が壊れることも厭わずにイライザを僕の乳母に戻す決心をして下さいました。

僕はそんな父さまの覚悟に報いるような努力をしたいと思います。


☆☆☆☆☆


「オイゲン様」


にこやか顔でイライザが僕に走り寄ってきます。

その後ろをとことことイライザの娘のエリーが付いてきます。


「オイゲ〜ン」


エリーはとことこと僕の前まで進むと僕に抱き付いてきます。


「うえええん、逢いたかったよ〜」


エリーともずっと疎遠になっていましたからね。


「父さんが、父さんが酷いの。

オイゲンに会っちゃいけないって。

母さんはオイゲンに会えるのにおかしいよね。

だから、父さんと喧嘩したけど逢いにきたよ」


僕をぎゅっと抱きしめながらエリーが話してくれます。

僕もエリーに逢いたかったのでとても嬉しいです。


「さあ、オイゲン様。イライザがおっぱいを差し上げますよ。

たんと飲んでくださいね」


「母さん、だめえ、エリーなの。

オイゲンはエリーと遊ぶの」


久しぶりに会うせいでしょう。エリーがすごい甘えん坊になっています。


「エリー我が儘を言わないのよ。

お仕事を済ませたらオイゲン様はエリーと遊んでくださるわ。

だから、大人しく待っているのよ」


「ハイ、まちゅます」


僕は聞き分けの良いリリーの頭を撫でてあげます。


「えへへ、エリーは良い子で待ってますから後で遊んでくださいね」


ニコニコ顔のエリーは可愛いですねえ。


「さあ、行きましょうか」


イライザが僕の手を取り歩き出します。


「ちょっと待った〜」


この声、シャロンさんですね。


「俺も立ち会うぞ」


シャロンさんはイライザが大切でしょうがないのですね。


「もう、シャロンたら、散々話し合ったのに!

なんで家で待ってられないの」


イライザの顔がぷくっとふくれます。


「御免、でもムリ。僕はイライザを守るって誓ってるからね」


守るって、僕は悪漢ですかね?


「も〜、シャロンたら」


あれ、イライザはまんざらでも無いようです。

シャロンはイライザを守るナイトなんですね。


「さあ、オイゲン行くぞ」


「待て待て、お前が行くなら俺も行くぞ」


父さまです。

父さまの宣言にシャロンさんの顔が怒りに染まります。


「ああっ、お前はイライザのおっぱいをそんなに見たいのか」


「なっ」


シャロンさんの想定外の指摘に父さまが怯みます。


「ふざけるなシャロン。俺はそんな事は考えていないぞ」


「考えていないだと。

なにを言ってるんだ。

これからオイゲンがイライザのおっぱいを吸うんだぞ。

そこにいるっていう事はイライザのおっぱいを見るっていう事だろう。

それに、俺はな。お前の奇想天外の説明に納得なんかしてないんだぞ。

お前の息子が俺の大切なイライザのおっぱいにちょっかいを出すだけで限界なんだ。

お前までバカな事を言ってくれるなよ」


「そうか、そうだよな。済まんなシャロン」


父さまは辛そうです。


そんな父さまを気にもかけずにシャロンは僕の手を引っ張って進みます。

これは、シャロンに奇跡を見せないと大変な事になりますね。


そして僕、母さま、シャロン、イライザが一室に籠ります。


「さあ、オイゲン様。イライザのおっぱいを吸ってくださいな」


そう言ったイライザは服の前をはだけておっぱいを出してくれます。

そこには僕への授乳で見違えるほどに大きくなったイライザのおっぱいがあります。


「くそっ」


シャロンの呪詛が聞こえます。

振り向くとシャロンが僕を強く睨んでいます。


僕は覚悟を決めてイライザに向かいます。

シャロンをなっとくさせ、イライザの協力でポーションを沢山作れるようにするためにね。

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