第22話 瑞江とデート?? (1)



土曜日の朝涼真は約束通り中央駅の改札口で瑞江を待っていた。普段とは違うカジュアルな服装だ。


家を出る準備をしているとき


「なんだ涼真お前どっか出かけんのか?」


と父カズオに聞かれた涼真は


「あ、うんまぁ〜ね〜。」


と曖昧な返事を返した。


するとなにか察したのか


「お前女と会うだろ?」


とバレてしまった。涼真は仕方なく


「う、うんまぁそんなとこだね。」


「全くいいな。青春っていうもんは。おい、それならこれ着て行け。」


とカズオが持っていたおしゃれな服を渡されたのだ。


涼真はあまり乗り気ではなかったが父の言うとおりに着た。だが本当は着たくない理由があった。


つい先日にななみから教えてもらったことだ。


「亜美の想いに気づいてあげてよ。。。」


この言葉により涼真は亜美の好意を初めて認識した。そして真剣に亜美を幼馴染としてではなく一人の女性として見始めたのだ。


そのような気持ちの変化もあって涼真はこのデート?すらも断りたい気分だが性格が優しすぎるためその気持ちを押し殺したのであった。


なのでもしものことがあれば涼真はいつでも断れる準備をしていた。たとえその相手が自分も知っているモデルと気づいてもだ。


「あら、私より早いなんてやるじゃない。まだ15分前よ?」


とピンク色の目立つショートワンピースを身にまとった瑞江が現れた。その目にはサングラスがつけてあり有名人オーラを漂わせていた。


「女性を待たせるのはいけないと思ったので。行きましょうか。」


とその美貌に鼻血が出そうなのを抑えて涼真は言った。


「えぇそうね。」


と二人は揃ってあるき始めた。


ーーーーーーーーー




「そういえば聞きたいことがあるんですけど。」


とおもむろに涼真は喋り始めた。


「瑞江さんってもしかしてモデルの松本瑞江さんだったりとかしますか?違ったらほんとにすみません。」


と抱いていた疑問を口にした。


瑞江はニコリと微笑み


「よくわかったわね。私海外を拠点にしていたんだけど?」


「僕もアメリカにいましたからね。ほら飛行機でも、、、その、、、あの、、、」


「なーに照れちゃった?それともし た い?」


とお得意の色気を使ってきたが


「いえ。大丈夫です。」


と涼真は必死にこらえた。


そんな涼真を見た瑞江は「この男私のものにしてあげる」と心の中で言い涼真がそっぽを向いた瞬間見えないように投げキスをしたのであった。


「あ、着きましたね。ここです。」


と駅から10分ほど歩いた路地の中にその店はあった。


名前は「イル・アルティスタ」


テーブル席が5つとカウンターだけのこじんまりとした店だ。そこまで高級感も漂っていなくて学生でも気楽に入れる作りだ。


「いいとこ見つけたわね。」


「こういうの初めてですから。どうぞ。」


とレディファーストを意識して涼真はドアを開けた。


さぁここからが本番と言わん限りの満足した顔で瑞江は店内に入った。




その二人をじーっと眺める一人いることに気づかずに。。。

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