第17話 一応デート

 涼真と亜美は手をつないだまま帰っていた。幸いまだ学校のものには目撃されておらず、亜美は安心した。


 そして次のステップへ


 ”涼真はこのあと時間ある?” 亜美は聞いた。


 ”俺は問題ないよ。” 涼真は返した。


 亜美は深呼吸をし


 ”じゃ、じゃあさ今から私の買い物に付き合ってくれない?” 涼真を見上げて亜美は聞いた。


 ”付き合ってくれない?” という言葉に涼真は過剰反応を示したが


 ”いいぞぞ。全然んんん” と落ち着いて言った。語尾は落ち着いていないが。


 ”やった。ありがとう!” とぴょんぴょんうさぎみたいに亜美は飛び跳ねた。


 ”じゃあ。近くのイオンに付属しているモールでいいかな?” 


 ”おう、いいぞ。”


 そのまま二人はモールに向かった。




 ”亜美は何が買いたいんだ?” 涼真は当然の疑問をぶつけた。


 ”えーと、新学期になるし新しい夏物の服が買いたいなー。” と亜美は答えた。


 ”そっか。じゃああそこに行こっか。” 涼真が指した先には洒落た洋服屋があった。


 ”うん!” 亜美はうれしそうに涼真についていった。



 ”これはどうかな?” 亜美は涼真に振り向いて聞いた。亜美は気に入った服を見つけるたびに涼真に聞いた。


 ”い、いいと思うぞ。その柄は亜美に似合うと思うぞ。”


 ”ほ、ほんとに?”


 ”うん。。似合ってる。”  なんだこの雰囲気。。。 すると店員が


 ”あのーカップルなのはわかりますが公の場でそのようなことは。” とイチャツイている二人に言った。


 ”カ、カップルじゃないです!友達です!友達!な?亜美。” 涼真は必死に弁解した。その横で亜美はつまんなそうな顔をシていた。


 ”ブーーーー” とあからさまに不貞腐れた。


 ”ほんと鈍感” 呆れたように亜美は言った。


 ”へ?鈍感?誰が?” 馬鹿な涼真は気づかず聞き返した。


 ”もういい!決めた!これにします!” と亜美は涼真を無視し店員に言った。


 ”んー?” 相変わらず涼真の頭の上にはハテナマークがついていた。




 時刻は7時。亜美と涼真はモールのフードコートに来ていた。その後亜美に言われるがままに涼真は買い物につきあわされた。涼真はすっかり疲れ切っていた。もはやこれはデートと言えるのか?


 疲れた涼真を見て亜美は


 ”大丈夫?”


 ”う、うん。それよりも早く飯にしよ。俺腹減って仕方がねぇんだよ!” と涼真は一目散に走っていった。


 ”もう自分勝手。”亜美は少し不貞腐れたが涼真と学校後これだけの時間を過ごせているのははじめてだ。ということは涼真と関係が深めれたということであり亜美は内心喜んでいた。


 ”よし、次は アレね。”亜美は心の中で言った。”ななみ私頑張るよ!”とガッツポーズを決め涼真を追いかけた。


 二人は悩んだ末お互いハンバーガーを食べることにした。涼真はビッグミャック、亜美はテリヤキバーガーにした。


 ”やっぱりミャックは美味しいね。” と亜美は好みのテリヤキバーガーを頬張りながら言った。


 ”あー。ミャックといえばビッグミャックだよな。” 涼真はしみじみといったが


 ”うーうん!テリヤキよ!この美味しさに勝てるバーガーはない!” 亜美は言い返した。


 ”ビッグミャック!”


 ”テリヤキ!”


 ”いいや、ビッグミャック!”


 と涼真と亜美はつまらない言い争いを続けた。


 食事も終盤になり亜美はななみのアドバイス通りの行動に出た。


 ”ね、ねぇ涼真。。。”


 ”ん?どした。亜美”


 ”あ、あーーん。。。” と亜美はフライドポテトを涼真の口の前に出した。


 ”えええ、おい!”


 ”あーーん!”


 ”あ、あーーん。” と亜美は強引に涼真にあーんをしたのであった


 ”美味しい?” 亜美は聞いた。


 ”お、おいしい。。” 涼真も言った。


 さすがに亜美も恥ずかしく、頬を紅潮させた。


 ”だめ!勇気を出さないと!”自分に言い聞かせ亜美は


 ”じゃ、じゃあ私のもあ、あーーん。” と口を開けて待った。。。


 ”まじかよ!なんて顔してんだ亜美!これって亜美がさっき俺にやったことをシてってことだよな?恥ずかしいってマジで!” 涼真は焦ったが


 ”こういうことをしてくる亜美はやっぱり自分のことが好きなのか。。。” とようやく亜美の想いを理解した。遅すぎるが。。。


 ”あ、亜美。あーーん。” 涼真は亜美にあーんをした。その時亜美は涼真の指をペロリとなめて


 ”お、美味しい。” と満足げに笑った。


 ”ありがとう、涼真。。。” 


 ”こちらこそな。。。” こうして二人の初デート(涼真自覚なし)は終わったのであった。

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