第16話 涼真落とし作戦開始

 数日後の放課後,亜美は校門で涼真が出てくるのを今かと今かと待っていた。涼真を落とすと決めた亜美とななみはその後夜中まで作戦をねった。もちろん修学旅行のこともだ。


 亜美はななみの一言一言をしっかりと思い出し口で繰り返し言ったいた。


 ”隣を歩く、ボディタッチ、手をつなぐ、キス。隣を歩く、ボディタッチ、手をつなぐ、キス。隣を歩く、ボディタッチ、手をつなぐ、キス。” と大事な要点を繰り返しつぶやいていると


 ”あ、亜美どうしたんだ?” とあろうことかと涼真が目の前に立っていたのだ。


 ”あああ、いいや、別に考え事!考えこと!” 


 ”キスとか言っていなかったか?” 涼真は疑いの眼差しを向けながら聞いた。


 ”ち、違うの!なんでもないの!てか涼真盗み聞きしないでよ!” 亜美は顔を真っ赤にして言った。


 ”ぬ、盗み聞きじゃねぇよ。亜美の声がでかいんだよ。。。それに今もほら。。。” 涼真は振り返りながら言った。


 そこには確かに野次馬がたくさん集まっていた。


 ”あんな、天使の顔初めて見た。すっごく照れてた!”


 ”キスとか言ってたよな?”


 ”やっぱ涼真彼氏なのか?”


 野次は口々に言った。


 ”......."


 亜美は無言で涼真を引っ張り急ぎ足で校門を出たのであった。



 ”お、おい!どうしたんだよ!” 涼真は手を振りほどいて言った。


 すると亜美は振り向いた。頬を目一杯膨らましながら


 ”もう!ひと目のあるところで変なこと聞かないでよ。みんな見てたじゃん。”


 亜美は怒った。プンプンと。そう。プンプンと。その仕草が可愛すぎたのか涼真は顔を伏せながら謝った。


 ”わ、悪かったよ。” 素直に謝った。


 ”わ、わかったくれたらいいの。だからさわがまま聞いてくれる?”


 ”な、なんだ?”


 亜美は勇気を振り絞った。


 ”これからずっと私と一緒の帰ってほしいです。。。” 消え入りそうな声で亜美は言った。


 ”い、今なんて?” 涼真は思わず聞き返した。


 ”だ、だからさ、一緒に帰ろ?学校のあと。” 亜美は首をかしげながら言った。


 ”や、やべぇ。可愛すぎる!”涼真の心のなかは荒れていた。まだ涼真は亜美にloveの感情は抱いていない。幼馴染としてlikeの感情はあるが。。。だがだんだんとその感情はloveに傾いていたのだ。


 ”べ、別にいいぞ。” 涼真は必死に照れを隠しながら言った。


 その言葉を聞いた亜美は次のステップへと入った。


 ”じゃ、じゃあ。はい!” と勢いよく涼真の目の前に手を出した。つないでくれと。


 ”え、ええ!それは流石にまずくないか?恋人って思われるぞ?” 涼真は聞き返した。


 すると亜美は


 ”わ、私は別にそう思われてもいいけど?” と勇気を振り絞り言った。


 この大胆なアピールに鈍感な涼真も気づきかけた。”亜美は自分のことが好きなのか?”と。だがまだ確信には変わっていなかった。


 ”じゃ、じゃあ。” と涼真は亜美の手を握り返した。


 亜美の手は小さくモチモチとしておりとても可愛らしかった。


 そのまま二人は日の沈む方へあるき出した。もう一回言おう。完全リア充だ!




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