第14話 対決のとき
時間はあっという間に過ぎ時刻は16:00放課後。栗生高校のグラウンドにはたくさんの野次馬がやってきていた。
もちろん涼真と健太の対決を観戦するためである。想像以上の野次馬の数に俊介はビビっていた。
”おい、集まりすぎだろ。なんで全校生徒の半分ぐらい来てんだよ。これじゃあ緊張して本気出せねぇよ。” と嘆いた。
”そういうことを表に出すな。おそらく健太が手を回したんだろうよ。涼真の無様な姿が見れるとか言ってよ。” 慶人はつまらなさそうに言った。
”堂々としろ。相手が県トレであろうとナショトレであろうと関係ねぇ。俺たちは勝つんだ。そうだろ?” 涼真は3人に言った。
”そうだな。”
”やってやろうぜ。”
3人は口々に言った。そして最後の一人の翔が現れた。
”うーっす!涼真さん来ましたよ!あ、他の皆さんもよろしくっす!” と翔は笑いながらきた。
”おう!5人で健太を叩き潰すぞー!” 涼真の掛け声とともに5人はグラウンドに向かった。
”ビビらずに来た見てぇだな。降参するならイマのうちだぞ?” ついた途端健太は煽ってきた。その後ろには屈強な4人の男が待ち構えていた。
”無駄口叩かずにさっさと始めようぜ?勝負とやらを。” 涼真もまっすぐ健太を見据え言った。
”ルールは簡単だ。5対5。15分ハーフ。点を多く取ったほうが勝ちだ。”
”上等だ。受けて立ってやる。”
こうして両者の戦いの火蓋は切られた。
前半終了 9−0 .........
”ザワザワ”
”嘘だろ、あの健太がまさかここまで。”
”てか涼真うますぎだろ。あれじゃあ仕方ねぇな。”
外野は騒いでいた。
前半終了時にはこの大差がついて涼真が勝っているのだ。健太たちももちろんうまい。 だが涼真と翔のコンビは誰にも止められなかった。
”くそ。”健太は苛ついた。もともと涼真を惨めにさせるのが目的なのにイマは自分も惨めな一面を多くの生徒に見られている。”こんなはずじゃ。。。”と健太が思うのも当然だ。暴力事件のあと健太は必死に練習した。ひたすら涼真を超えるために。その努力も実り県トレにも選ばれた。だが涼真はさらにその上を行く存在なのだ。
後半が始まるが試合は涼真と翔の一方的な攻撃だ。涼真と翔のパスワークを阻止するために距離を縮めると足技で抜かれる。
ドリブルを警戒すると圧倒的な瞬発力で剥がされる。健太たちは全く歯が立たなかったのである。まさに手も足も出せない状況である。
一方の涼真の翔余裕の表情だ。
”おい、翔!俺に出せよこっちのスペースのほうが広いだろ!”
”ごメーン!でも俺一人で抜けるからさ!つい。”
と完全に健太たちは遊ばれている状態だ。そのまま試合は終わり。
20−0 涼真が12得点、翔が8得点の完封すぎる涼真たちの勝利であった。
試合後涼真と翔は野次馬に囲まれていた。
”すごいね!涼真!”
”ちょーうかっこいい!もう我慢できない!”
”完璧すぎる男子!惚れるしかないでしょ。”
女性陣は完全に涼真に惚れていた。無論亜美も。。。
”りょ、涼真くんこういう一面もあるんだ。素敵。。。”
そして涼真は健太と向かい合った。
”俺たちを潰すってことはできたかな?健太?” 涼真はニコニコしながら聞いた。
”く、くそーーー!すみませんでしたーーー!” 健太は体を180度おり謝った。
”べ、別にそこまでシなくていいって。顔上げろよ。” と涼真は健太に言った。
健太は素直に顔を上げた。
”確かにお前とは過去に色々あったがいいライバル関係だろ?これからもそういう関係で行こうぜ?な?” と涼真は仲直りの印に手を出した。
”こんな俺を許すのか?こんなキタねぇ俺を。” 健太は気まずそうに聞いた。
”あー許す。だからさこれからは仲良く行こうぜ?”
”あー。ありがとう。ほんとにすまねぇ。”
こうして宿敵だった健太は涼真と仲直りをシたのであった。
そんな涼真を見て亜美はさらに赤くなっていた。そして心の中で涼真に告げた。
”涼真くんやっぱり大好き。。。”
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