第40話

図書室の扉の前に来る。


「あ、UFOだ!」


自分でも思う。なぜ、屋内で見たことも無いUFOを目撃したアピールをしてしまったのか。


「はぁ?」


音が鳴ればそちらを向く。動物の本能的な行動。


それは人間にも当てはまった。


こちらを向く一条と取り巻き達。


逃げなくてはならない!


使命感にも似たこの意識は、僕を行動へと駆り立てる。


すぐさま扉に飛びつきスライド式のその扉を。

開けなかった。何かが僕の首の後ろを掴んでいる。


すごい力だ。


自分の制服。その中にあるカッターシャツまで掴まれている。


体育の授業でやった柔道の授業を思い出した。


生徒同士はなんでもないのだが、先生とやると捕まれる=投げられる。


この方程式が当てはまった。


焦る。投げられたくない。


扉まであと数センチ。


「あと少し。。」


GAMEOVERの文字が頭の中に浮かぶ。


ガラガラ!


救いの扉は開かれた。


若い女性。生徒ではなく、女性。


そう!。先生だ!


「あなたたち。図書室前で遊ばない!」


こういう時、人の心はすぐわかる。


罪悪感がある者はその場を立ち去り、


悪気のない者はその場に残る。


もちろんぼくは後者だった。


先生を前に彼らは一目散に姿を消したのだった。

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