第37話

あれからしばらく。


一条達は何も仕掛けて来なくなった。


僕を陥れるという目的を達成したからなのかもしれない。


僕自身、もともと友人がいたわけではないのでいつもの学校生活。


ただ、


あいさつと笑顔習慣は続けていた。


翔子との約束だからだ。


特定の人間だけではなく、朝に会う人みんなへのあいさつ。


今では全く苦にならない。


人は笑顔でいると笑顔で返してくれる。


返報性の法則。だったかな。この間本で読んだ気がする。


「おはよう」


ただ、問題は相沢さんだった。


「おはよう」


自分の笑顔が引きつるのがわかる。


やはり戸惑ってしまう。彼女は何も知らないが、一条達の絡みのきっかけは彼女だからだ。


「クラス委員の仕事はどう?。何か協力できることがあれば言ってね」


彼女に気遣いの言葉は無意識の善意から放たれるものだったが、


それを見つめる悪意の視線を感じる。そう、一条だ。


クラス委員は定期的に放課後集まって活動報告の相談をする。


そんなルールがあるらしい。


放課後、先生への活動報告内容の確認。


そこで事件は起こった。

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