第25話

「他、立候補・推薦はないか?」


担任のジャスティスの声が教室に響く。


反応はなく、教室はざわつき始めていた。


2人に視線が集まる。


「橘か一条か?」


どちらがクラス委員になるのか。


またお互いの推薦のやり取りから、2人には何かあるのか?


みんなの思惑が、2人を好奇な視線にさらしていく。


「では、決めるぞ」


ジャスティスが黒板に書き始める。


「クラス委員 橘」


黒板にはそう書かれていた。


黒板の文字を確認したのか一条の顔がにやけている。


しかし、チョークは止まらない。つづいて、


「クラス委員 橘 一条」


黒板にはの文字が刻まれていた。


「では、これからは橘と一条にクラス委員をやってもらう。推薦してくれた2人に拍手!」


教室が拍手の音で包まれる。


「放課後、2人で職員室に来るように」


起立、礼。の言葉とともにホームルームは終了を告げる。


ジャスティスは去っていき、教室は昼休みのリラックスムードに包まれていく。


「おい、お前どういうつもりだよ」


声のする方を見ると、一条がこちらを見下ろしている。いつもの2人はいない。


「ん?」

「なんで俺を推薦したんだよ!」


いつもより声に熱があるのを感じる。


「ちょっと来い!」


僕はそのまま彼に手を引っ張られ教室をあとにしたのでした。

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