第15話
中庭掃除5日目
橘はじめはいつものように相沢つぐみと中庭掃除。
「なんでいつもあいつと一緒なんだよ」
そうつぶやく者がいる。2階の教室からである。
彼の名前は一条隼人。
「誰だよアイツ」
知らない同級生と楽しそうに話す彼女の顔を初めて見た。
もともと相沢つぐみはもともと大人しい女の子。
「つぐみの事よろしくね」
「はい」
つぐみの母から言われた言葉。昔から相沢家と一条家は親同士が学生時代の同級生のため交流がある。引っ込み思案のつぐみを心配し、かけ続けられた言葉はいつしか彼に使命感を与えていた。一緒に話している同級生には見覚えがあった。同級生で同じクラス、橘はじめである。
学校が始まって、それぞれがコミュニティを作っていく中で、休み時間にも1人で本を読んでいる。さみしそうな様子も感じられない。小学校の友達と共に進級した彼にとって、友達を作ろうとしない橘はじめはなんの対象にもならないはずだった。
放課後の中庭掃除を見るまでは
彼の中にふつふつと何かが湧き上がっているのが感じられた。攻撃的な何か。
それが嫉妬だということは、つぐみに恋をしていたという感情は分からなかった。
ただただ、楽しそうに幼馴染と仲良くしている同級生の男が気に入らない。
「どうしたんだよ。隼人」
「いや・・・。そういえばさ。橘って分かる?」
「橘?。そんなヤツいたっけ?」
「同じクラスの」
「ああ、ジャスティスに授業中注意されてたヤツだよな」
「ジャスティスに・・・。いいこと思いついた」
隼人の唇が横に広がる。
少し思い知らせてやろう。
彼の中でもともとそれを望んでいたかのように、自然と考えがまとまっていったのだった。
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