第9話

ゲームに見る主人公の哲学 9


うちの学校の構造は2階が1年生教室、

3階が2年生、4階が3年生。

宿敵「山下」先生のいる職員室は1階。

戦場に赴く途中、

「おはようございます!」

「お、おはよう」

「誰だよ、あれ?」

「さぁ?」

2人の男子学生を撃破!


翔子のミッションを忠実にこなしながら目的地に向かっていく。


最初は難易度高めのミッションだったはずのあいさつ。


ボスキャラに挑む今となってはザコキャラ処理に等しい。


そう、山下はBOSSキャラなのだ。

ボスに挑むには攻略法があるはず。

ボスの情報を思い出す。



・元柔道部

・英語教師

・映画好き






だからなに??






ゲームの攻略に必ず存在する有力な手がかりがまるでない!!


何かピースが足りないのか?。


職員室の扉の前に来る。

この先にBOSSが待っている。

「ふー」

落ち着け。

高鳴る胸の鼓動を感じながら、扉の取手に手をかける。

「おはよう!」

後ろからの突然の声

「おはようございます!」

ミッションの法則により反射的に振り返る。


山下だ!


BOSSからのバックアタック!!


体勢を崩され、橘はじめは戸惑っている。

「どうした?。何かあったのか?」

口をパクパクさせるが言葉が出ない。

「なんだ?。どうした?」

山下先生は橘はじめを不思議そうに見つめている。

「おはようございます」

「おはようございます!」

職員室の前も人通りが多くなり、あいさつが飛び交う。扉の前で先生と生徒が会話もせず向かい合っている姿は少し違和感がある。

山下もそれを気にしてか、職員室の扉に視線を移す。

「ちょっと中で話そうか」

「はい」

落ち着け、落ち着け。

心の中で自分に言い聞かせながら、

橘はじめは敵のアジトに足を踏み入れたのだった。

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